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クリーンルームで結露が起きるのはなぜ?
発生箇所と設計・運用の対策

最終更新:2026年9月24日

クリーンルームで結露が起きるのはなぜ? 発生箇所と設計・運用の対策設計・設備クリーンルームで結露が起きるのはなぜ?発生箇所と設計・運用の対策

クリーンルームの結露は、湿度が高いから起きるのではありません。空気に触れる面の温度が、その空気の露点温度を下回ったときに起きます。露点温度とは、気象庁の定義で「水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%となる温度」です。

つまり原因は「湿った空気」と「冷たい面」の組み合わせで、どちらか一方を断てば止まります。実際に、室温25℃の製薬工場のクリーンルームで湿度が上がる季節に結露が出た事例では、露点9℃まで除湿した外気を入れる方法で解決したことが公表されています(アメフレック・2022年10月号)。

この記事では、クリーンルームのどこで結露が起きるのか、何が問題になるのか、設計と運用のそれぞれで何ができるのかを、公表されている数値と法令の条文にあたって整理します。

目次
  1. クリーンルームの結露はどこで起きるか
  2. 結露が起きる条件は表面温度と露点温度
  3. クリーンルームで結露が問題になる理由
  4. クリーンルームの結露を設計で防ぐ
  5. クリーンルームの結露を運用で止める
  6. 結露対策が特に要る施設と温湿度の目安
  7. クリーンルームの結露に関するよくある質問

クリーンルームの結露はどこで起きるか

結露は部屋全体で一様に起きるのではなく、周囲より冷たい面、湿った空気が入ってくる場所、温度差のある境界の3か所に集中します。まず自分の施設のどこが当てはまるかを切り分けてください。対策の打ち手が場所ごとに違います。

クリーンルームで結露が起きやすい場所と原因
場所なぜそこで起きるか効く対策の方向
外気の取り入れ口・外調機まわり屋外の湿った空気がそのまま入り、室内の冷たい面に触れる外気を除湿してから入れる(露点を下げる)
冷却コイル・冷水配管配管やコイルの表面温度が露点温度より低い保温材を巻く、送水温度を見直す
低温室・冷蔵室との境界扉の開閉で暖かく湿った空気が低温側へ流れ込む前室を設ける、陽圧にする、開口部の気流を抑える
壁・天井パネルの継ぎ目と貫通部断熱が切れた部分だけ表面温度が下がる断熱の連続性を確保し、貫通部をシールする
装置の冷却部・治具冷えた金属面に室内の空気が触れる室内の湿度を下げる、装置側で断熱する
作業場所の真上(天井面)上部で滞留した湿った空気が冷えた天井面に触れる換気が適切にできる構造にする(食品では法令の要求)

公表されている事例も、この切り分けと一致します。アメフレックが2022年10月号で公開した3件は、室温25℃の製薬工場のクリーンルーム(湿度が上がる季節に結露)、室温15℃の食品工場の低温包装室(温度差による結露)、温度帯5℃の冷蔵荷捌き室(開口部からの外気による結露や霜付き)で、いずれも露点9℃まで除湿した空気を供給する方法がとられています。3件目は室圧を陽圧化したことで、梅雨時期でも荷捌き室の視界が良好になったとされています(2026年9月24日確認)。

低温室そのものの計画は恒温恒湿室とは、室圧と気流の考え方はクリーンルームの換気で扱っています。

結露が起きる条件は表面温度と露点温度

結露とは、空気中の水蒸気が冷たい面で水になる現象です。起きるかどうかは、面の温度と露点温度を比べるだけで判断できます。面の温度が露点温度より低ければ結露し、高ければ結露しません。相対湿度が何パーセントかだけを見ても判断できません。

結露の判定に使う3つの値
値意味現場での測り方
露点温度水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%となる温度(気象庁の定義)温湿度計から換算する、または露点計で測る
相対湿度水蒸気量と、そのときの気温における飽和水蒸気量との比を百分率で表したもの(気象庁の定義)室内の温湿度計で読む
面の表面温度壁・配管・装置など、空気が触れる面の温度放射温度計や表面温度センサーで測る

定義の出典は気象庁の予報用語です(2026年9月24日確認)。結露の調査で最初にやることは、湿度計を見ることではなく、結露している面の表面温度を測ることです。同じ部屋の中でも、配管の表面だけが露点温度を下回っていることがあります。

対策は、この不等式の両側のどちらを動かすかで整理できます。空気側を乾かして露点温度を下げるか、面側を温めて表面温度を上げるかの二択です。

結露を止める2つの方向と具体策
方向やること向いている場面副作用
空気を乾かす(露点温度を下げる)外気を除湿してから入れる、デシカント除湿機を入れる部屋全体で結露が出る、湿った外気の影響が大きい除湿の設備費とランニングコストが増える
面を温める(表面温度を上げる)配管の保温、パネルの断熱、冷水の送水温度を上げる特定の面だけで結露が出る冷却能力が落ちる場合がある

温度と湿度の設定値そのものはクリーンルームの温度・湿度に整理しています。除湿の運転が増えると電力も増えるため、クリーンルームの省エネと合わせて検討してください。

クリーンルームで結露が問題になる理由

結露はそれ自体が汚染です。水滴が落ちて製品を汚すだけでなく、濡れた面でカビや細菌が増え、金属部には錆が出ます。粒子を取り除く設備が正常でも、結露が続いている施設は清浄度の管理が成り立ちません。

結露が引き起こす4つの問題
問題起きること影響の出方
製品への水滴の落下天井面や配管から水滴が落ちるその場で不良になる。食品では異物・汚染として扱われる
微生物の増殖濡れた面でカビや細菌が増える浮遊菌・落下菌が増え、清掃の頻度が上がる
発錆と設備の劣化金属面に錆が出て、錆が発塵源になる粒子が増える。装置の故障につながる
視界と作業性の低下低温室で霧や霜が出る作業効率が落ちる。転倒などの安全上の問題も出る

食品を扱う施設では、結露への対応が法令の要求になっています。食品衛生法施行規則の別表第十九(第六十六条の七関係)は、施設の構造及び設備として「食品等を取り扱う作業をする場所の真上は、結露しにくく、結露によるかびの発生を防止し、及び結露による水滴により食品等を汚染しないよう換気が適切にできる構造又は設備を有すること」と定めています(2026年9月24日確認)。

条文が「換気が適切にできる構造又は設備」を求めている点が重要です。拭き取りなどの運用ではなく、構造と設備で結露しにくくすることが求められています。後から対処する前提で設計すると、この要求を満たせません。

微生物の測定の考え方は浮遊菌と落下菌、食品工場の設計要件は食品工場のクリーンルームにまとめています。

クリーンルームの結露を設計で防ぐ

結露は、設計の段階で決まる部分が大きい現象です。外気をどこまで除湿して入れるか、断熱をどこで切らさないか、低温室との境界に何を置くかの3点が、竣工後の結露の有無をほぼ決めます。運用で埋め合わせるのは高くつきます。

設計段階で決める結露対策の項目
決めること中身決めないと起きること
外気処理の露点取り入れる外気をどの露点まで下げるか梅雨と夏に室内の露点が上がり、冷たい面で結露する
断熱の連続性パネルの継ぎ目、貫通部、天井裏の納まり断熱が切れた部分だけ表面温度が下がり、そこに結露が集中する
配管・ダクトの保温冷水配管とダクトの保温厚さ、保温材の継ぎ目の処理天井裏で結露し、天井面のしみとして後から見つかる
室圧の設定どの室を陽圧・陰圧にするか。境界の圧力差湿った空気が低温側へ流れ込み、開口部まわりで結露する
低温室の前室冷蔵・冷凍室の前に緩衝空間を置くか扉の開閉のたびに湿った空気が入り、霜付きが進む
温湿度の設定値室温と相対湿度の目標と許容幅空調方式が決まらず、除湿能力が不足する

設定値の目安は公表されています。ホクト総研はよくある質問で、標準的な温度を「製品の精度を鑑みると23℃±1℃が一般的です」、標準的な湿度を「55% ±2%が理想的です」とし、錆を嫌うのであれば50%以下、静電気を予防するのであれば40%以上という設定もあると回答しています(2026年9月24日確認)。

公表されている温湿度の設定例と結露との関係
条件公表されている設定結露との関係
一般的なクリーンルーム温度23℃±1℃/湿度55%±2%(ホクト総研)湿度が高めのため、冷たい面があると結露しやすい
錆を嫌う工程湿度50%以下(同)露点が下がるぶん、結露しにくくなる
静電気を嫌う工程湿度40%以上(同)乾かしすぎると静電気が増えるため、下限がある
結露が出た製薬工場室温25℃へ露点9℃の低湿外気を供給(アメフレック)供給空気の露点を下げて室内の露点を抑える
リチウムイオン電池のドライルーム露点−30〜−50℃の環境(MEIHOU・2012年10月22日発表)結露以前に水分そのものを嫌う工程で、専用の除湿方式を使う

湿度は下げるほど良いわけではありません。静電気対策では下限があり、下げるほど除湿の電力も増えます。錆・静電気・結露のどれを優先するかを工程側と決めてから、空調方式を選んでください。空調方式そのものはクリーンルームの空調、内装材と断熱の納まりはクリーンルームの内装で扱っています。

クリーンルームの結露を運用で止める

すでに稼働している施設では、設備を入れ替える前にできることがあります。結露している面の表面温度と、そのときの室内の露点温度を記録して、どちらが動かせるかを判断します。原因が特定できないまま除湿機を増やしても、費用だけがかかります。

  1. 結露している面を特定する——天井面か、配管か、装置か、扉まわりか。写真と位置を記録します
  2. その面の表面温度を測る——放射温度計で、結露している面と、していない面の両方を測ります
  3. 同じ時刻の室内の温湿度を記録する——温湿度から露点温度に換算し、表面温度と比べます
  4. 起きる時間帯と季節を記録する——梅雨や夏だけか、始業直後だけか、扉の開閉が多い時間帯かを見ます
  5. 外気の影響を切り分ける——外気取り入れの運転状況と、扉の開閉回数を照らし合わせます
  6. 打ち手を1つずつ試す——保温の追加、送水温度の変更、除湿の強化のうち、原因に合うものから実施します
記録と打ち手の対応
記録からわかること考えられる原因先に試す打ち手
特定の配管・面だけが冷たい保温不足、断熱の切れ保温材の追加、貫通部のシール
部屋全体の露点が高い外気処理の除湿不足外気処理の見直し、除湿の強化
扉の開閉が多い時間帯に出る湿った空気の流入室圧差の見直し、前室の運用ルール
梅雨と夏だけ出る外気の絶対湿度が高い季節要因季節ごとの運転条件を分ける
始業直後だけ出る夜間停止で面が冷えている、立ち上げの順序空調の運転スケジュールを見直す

結露を拭き取る作業を日課にしている施設は、原因の切り分けが済んでいない状態です。拭き取りは水滴を減らしますが、濡れた面が乾くまでの間に微生物が増える条件は残ります。記録を3か月分そろえると、季節要因か設備要因かは判断できます。清掃そのものの手順はクリーンルームの清掃にまとめています。

結露対策が特に要る施設と温湿度の目安

同じクリーンルームでも、結露の重みは業種で違います。食品と医薬品は法令や基準が結露に触れており、低温を扱う施設は結露が日常的な課題になります。自分の施設がどの型かで、設計の優先順位が変わります。

業種別に見た結露対策の位置づけ
施設結露が効く場面先に決めること
食品工場作業場所の真上の結露が法令の要求に直結する天井面の換気と断熱、低温包装室の温度差
医薬品・再生医療微生物管理の面で、濡れた面が許容されない外気処理の露点、清掃と乾燥の手順
電子部品・精密機器発錆と静電気のバランスで湿度の幅が狭い湿度の下限と上限、装置まわりの表面温度
冷蔵・冷凍を伴う施設開口部の霜付きと視界の悪化前室の有無、室圧、扉の開閉ルール
リチウムイオン電池結露以前に露点管理そのものが工程条件になるドライルームの除湿方式と到達露点

低露点を求める領域では、除湿方式そのものが選定の対象になります。MEIHOUは2012年10月22日に、リチウムイオン電池の製造工程などで使われるドライクリーンルーム向けとして、露点温度−30℃〜−50℃の環境に対応し、再生処理温度を従来の140℃から60℃へ下げる除湿システムを発表したと公表しています。一般のクリーンルームの結露対策とは要求の桁が違い、専用の設備計画になります。

結露対策は、清浄度の管理と別物ではありません。濡れた面は微生物が増える場所になり、錆は粒子の発生源になります。クリーンルームの四原則(持ち込まない・発生させない・堆積させない・排除する)のうち、結露は「発生させない」と「堆積させない」の下地を崩します。設計段階で外気処理と断熱を詰めておくことが、結局は最も安い対策です。

これから計画する場合は、要求する温湿度の幅と、低温室の有無を最初に整理してから設計施工会社へ相談してください。クリーンルームの施工会社比較では、各社が公式サイトで公表している対応分野と施工体制をまとめています。医薬品は医薬品工場のクリーンルーム、食品は食品工場のクリーンルームもあわせてご覧ください。

クリーンルームの結露に関するよくある質問

クリーンルームの結露について、露点温度との関係、湿度の設定値、食品工場に求められる法令上の構造、設備を入れ替えずに直せるか、拭き取りだけで足りるかなど、現場で多い質問に本文の内容をもとに答えます。

クリーンルームで結露が起きるのはなぜですか?

空気に触れる面の温度が、その空気の露点温度を下回るためです。露点温度は、気象庁の定義で「水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%となる温度」です。湿度が高いだけでは結露せず、冷たい面があって初めて起きます。原因を切り分けるときは、湿度計ではなく結露している面の表面温度から測ってください。

クリーンルームの湿度はどのくらいに設定しますか?

ホクト総研は標準的な湿度を「55% ±2%が理想的」とし、コストの都合で±5%や±10%も見られると回答しています。あわせて、錆を嫌うのであれば50%以下、静電気を予防するのであれば40%以上という設定もあるとしています(2026年9月24日確認)。結露だけを見て下げると静電気が増えるため、工程側の要求と合わせて決めます。

食品工場の結露には法令の決まりがありますか?

あります。食品衛生法施行規則の別表第十九(第六十六条の七関係)は、施設の構造及び設備として「食品等を取り扱う作業をする場所の真上は、結露しにくく、結露によるかびの発生を防止し、及び結露による水滴により食品等を汚染しないよう換気が適切にできる構造又は設備を有すること」と定めています。運用ではなく構造と設備で対応することが求められています。

既存のクリーンルームの結露は設備を入れ替えないと直りませんか?

原因によります。特定の配管や面だけが冷えている場合は、保温の追加や送水温度の見直しで止まることがあります。部屋全体の露点が高い場合は外気処理側の課題で、除湿の強化が要ります。まず結露する面の表面温度と、同じ時刻の室内の温湿度を記録し、どちらが原因かを切り分けてください。

結露を拭き取るだけでは不十分ですか?

水滴は減りますが、濡れた面が乾くまでの間に微生物が増える条件は残り、金属面では錆が進みます。食品施設では法令が構造・設備での対応を求めています。拭き取りを日課にしている場合は、原因の切り分けが済んでいない状態と考えて、記録をとることから始めてください。

この記事を書いた人

執筆・編集:クリーンルームラボ 編集部

クリーンルームの設計施工会社について、対応分野・施工体制・公表実績を公式情報にもとづいてまとめています。

参照した情報:気象庁 予報用語(気温・湿度)露点温度の定義/e-Gov法令検索 食品衛生法施行規則 別表第十九(第六十六条の七関係)/ホクト総研 クリーンルーム関連 よくある質問(標準的な温度・湿度)/アメフレック アメフレックトピックス 2022年10月号(低湿外気処理空調機の事例)/MEIHOU リチウムイオン電池工場などのドライクリーンルーム向け新除湿システム(2012年10月22日)(2026年8月29日確認)

最終更新:2026年9月24日