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クリーンルームの清掃はどう進める?
方法・手順とISO規格が求める記録

最終更新:2026年9月3日

クリーンルームの清掃はどう進める? 方法・手順とISO規格が求める記録維持管理クリーンルームの清掃はどう進める?方法・手順とISO規格が求める記録

クリーンルームの清掃は、乾式の吸引、湿式の拭き取り、溶剤による拭き取りの3つを、上から下へ、奥から手前へという順序で回すのが基本です。家庭用の掃除機と雑巾は使いません。HEPAフィルタを備えない掃除機は吸い込んだ粒子を排気側から室内へ戻し、一般の布は繊維くずを置いていくためです。

ただし工場・研究施設の設備担当にとって重みがあるのは、作業手順そのものより「清掃をどこまで受注範囲に入れるか」と「そもそも清掃しやすい部屋になっているか」のほうです。国際規格ISO 14644-5は2025年5月に第2版へ改訂され、清掃を運用管理プログラムの構成要素として位置づけています。この記事では方法・順序・頻度の決め方に加えて、設計と見積もりの段階で決めておく項目まで扱います。

目次
  1. クリーンルームの清掃が必要な理由
  2. クリーンルームの清掃は3つの方法に分かれる
  3. クリーンルームの清掃手順は上から下へ
  4. クリーンルームの清掃頻度を決める考え方
  5. 清掃用品の選び方と持ち込みの管理
  6. クリーンルームの清掃を求める規格と法令
  7. 清掃しやすさは設計段階で決まる
  8. クリーンルームの清掃は外注と自社で分ける
  9. 清掃の範囲を見積書で確定させる
  10. クリーンルームの清掃に関するよくある質問

クリーンルームの清掃が必要な理由

クリーンルームの清掃とは、床・壁・天井・装置の表面に付着した粒子を室外へ持ち出す作業のことです。空気はHEPAフィルタが処理しますが、いったん表面へ落ちた粒子は気流では取り切れません。

清浄度を保つ仕組みは、給気で粒子を押し流し、排気で室外へ運び出すことで成り立っています。ところが粒子は気流に乗り続けるわけではなく、重力と静電気で床や機器の上面に落ち、そこに留まります。作業者が歩き、扉が開き、台車が動くたびに、落ちていた粒子は再び舞い上がります。清掃はこの「再飛散する在庫」を減らす作業です。

粒子がどこから入り、清掃で取れるのか取れないのかを整理します。

クリーンルームの清掃が必要な理由
粒子の出どころ起きること清掃で対処できるか
作業者皮膚片・毛髪・無塵衣の摩耗粉。動作が大きいほど増えるできる。ただし発生そのものは更衣と動線の管理で抑える
持ち込み物段ボール・紙・木材・一般文具からの繊維くずできる。持ち込み制限のほうが効果は大きい
装置・搬送機器摺動部の摩耗粉、キャスターの削れ、エア吹き出しできる。装置周囲は清掃の重点部位になる
すき間からの侵入差圧が崩れた扉・配管貫通部からの流入できない。差圧と換気回数の設計で対処する
フィルタの劣化・漏れシール部の漏れ、目詰まりによる風量低下できない。フィルタの点検と交換で対処する

この表の下2行が要点です。清掃で改善しない汚染がある以上、粒子数が上がったときに真っ先に清掃を増やすのは対処として外れることがあります。差圧が保たれているか、フィルタの差圧計に変化がないかを先に見てください。

表面の清浄度は感覚ではなく等級で表せます。ISO 14644-9:2022(表面の粒子清浄度の評価)とISO 14644-10:2022(表面の化学汚染の評価)が、空気ではなく表面を対象にした規格として整備されています(2026年9月3日にISO公式ページで確認)。

クリーンルームの清掃は3つの方法に分かれる

クリーンルームの清掃は、乾式の吸引、湿式の拭き取り、溶剤による拭き取りの3つに大別できます。汚れの種類と対象面で使い分け、同じ面では吸引から拭き取りへ進むのが基本です。

クリーンルームの清掃は3つの方法に分かれる
方法使う場面注意すること
乾式の吸引床・グレーチング・天井裏・装置上面にたまった乾いた粒子を回収する。清掃の最初に行うHEPAフィルタを備えた専用機を使う。家庭用は排気から粒子を戻す
湿式の拭き取り吸引で取れない付着物を拭き取る。純水や中性洗剤を含ませたワイパー・モップを使う水滴と拭き跡を残さない。乾く前に一方向で拭き上げる
溶剤による拭き取り油分・指紋・薬液の残りを除去する。イソプロピルアルコール等を用途に応じて使う材質適合と換気、引火性の管理。壁パネルや塩ビ床を傷める組み合わせがある

上の3区分は当サイトによる整理です。使用する洗剤・溶剤の可否は、内装材と装置のメーカー仕様に従ってください。

順番を守る理由は単純で、乾いた粒子が載ったまま拭くと、粒子を面に擦り付けて広げてしまうからです。吸引で量を減らしてから湿式に移り、必要な範囲だけ溶剤を使います。

拭き取りの動作にも決まりがあります。往復させると、いま拭き取った汚れを戻すことになります。一方向に拭き、ワイパーは折りたたんで面を変えながら使い切る——これが基本形です。モップも同様で、汚れた面を再び床へ当てない使い方をします。

クリーンルームの清掃手順は上から下へ

清掃の順序は、上から下へ、奥から手前へ、そして気流の上流から下流へ動きます。落とした粒子を、まだ清掃していない場所へ運ばないための順番です。逆に進むと、清掃そのものが汚染源になります。

クリーンルームの清掃手順は上から下へ
順序の原則具体的な動き守らないと起きること
上から下へ天井・照明・棚の上面 → 壁・装置 → 床の順で進める床を先に清掃すると、上から落ちた粒子でやり直しになる
奥から手前へ室の最奥から出入口へ向かって後退しながら清掃する清掃済みの床を歩いて戻り、靴底の粒子を残す
気流の上流から下流へ給気側から排気側・還気口の方向へ動く舞い上げた粒子が清浄度の高い側へ流れる
狭い所から広い所へ機器の裏・隅・配管まわりを先に、開けた床は最後に隅の粒子が、清掃済みの広い面へ出てくる

この4つは互いに矛盾しません。「天井側・奥・上流・隅」から始めて「床・手前・下流・広い面」で終わると覚えると、動線を1本に決められます。

作業そのものにも発塵があります。清掃道具の出し入れ、しゃがむ・立ち上がるという動作、ワイパーの取り替え——いずれも粒子を出します。清掃直後に測定して数値が悪化するのはこのためで、清掃後は気流が落ち着くまでの時間を確保してから測定するのが実務上の扱いです。稼働中の部屋では、生産の切り替え時間と清掃の時間帯をどう組むかが計画の要点になります。

入室そのものの手順は清掃作業でも変わりません。前室での更衣、エアシャワーの通過、粘着マットでの靴底処理まで、通常の作業と同じ手順を踏みます。清掃業者が外部の要員である場合ほど、この教育を誰が行うかを決めておく必要があります。

クリーンルームの清掃頻度を決める考え方

清掃の頻度は、用途と清浄度、作業の中身から自社で決めて手順書に落とします。GMP省令が求めているのは頻度の数値ではなく、手順書等に基づく清掃と、その記録を作成して保管することです。

頻度を組み立てるときは、部位ごとに周期を分けるのが現実的です。毎日全面を清掃するのは負荷が大きく、逆に重要部位を月次に落とすと不良の発見が遅れます。

クリーンルームの清掃頻度を決める考え方
周期対象になりやすい部位決めるときの目安
作業ごと・日次作業台の天板、床の動線部分、粘着マットの交換、廃棄物の搬出人と物が触れる面。汚れが目視できる周期に合わせる
週次壁の下部、装置の外装、台車・什器のキャスター、更衣室と前室粒子がたまり始める周期。測定値の変動と突き合わせる
月次壁の上部、配管・配線ラック、機器の裏側、還気口まわり手が届きにくく、放置すると再飛散源になる部位
年次・停止時天井面、天井裏、フィルタの吹き出し面、通気床の下部生産停止が要る範囲。フィルタ交換と同じ機会にまとめる

上の周期区分は当サイトによる整理です。実際の頻度は、清浄度クラス・取扱製品・監査要求から自社で定めてください。

頻度を決めたら、「誰が」「どの範囲を」「何を使って」「どう記録するか」まで一続きで文書にします。ここが空白のまま運用に入ると、担当者が代わった時点で内容が変わります。監査や顧客の工場視察では、清掃の記録がそのまま確認対象になります。

もうひとつ、清掃頻度を上げても数値が戻らないときは前提を疑ってください。清掃で改善しない汚染源が別にある可能性があり、差圧・フィルタ・持ち込み管理のどれかが崩れています。清掃の回数を増やす前に、原因の切り分けをおすすめします。

清掃用品の選び方と持ち込みの管理

清掃用品は、室内で発塵しないことと、汚れを保持したまま室外へ持ち出せることの2つで選びます。ISO 14644-18:2023は、こうした消耗品がクリーンルームに適合するかを評価する指針として整備された規格です。

同規格は、個人用・非個人用の消耗品について、製品と工程の要求、清浄度の属性、機能性能から適合性を評価する考え方を示しており、ISO 14644-5が扱う運用を補完する位置づけであることが公式の概要に明記されています(2026年9月3日確認)。

清掃用品の選び方と持ち込みの管理
用品役割選定・管理の要点
クリーンルーム用バキューム乾いた粒子の回収HEPAフィルタ付き。排気の向きと、ホース・ノズルの材質を確認する
クリーンルーム用ワイパー拭き取り端部の処理(切りっぱなしか溶断・縫製か)で発塵量が変わる。使い捨て運用が基本
クリーンルーム用モップ床・壁の広い面柄と接続部の材質。洗浄・乾燥・保管の場所を室外に決めておく
粘着マット・粘着ローラー靴底と衣服表面の粒子除去交換周期を決めて記録する。汚れたまま置くと発生源になる
洗浄剤・溶剤付着物の除去内装材と装置への材質適合を確認。保管場所と表示を分ける

用品の構成は、メーカーが公表しているパッケージ製品の付属品からも読み取れます。掲載企業の日本エアーテックは、パッケージ製品「オールインワンクリーンルーム」にクリーンスーツ・クリーンローラー・ワイパー・リバマットの4点を「スターターセット」として付属させると公表しています(2026年9月3日に同社公式サイトで確認)。稼働初日から必要になる最小構成が、ここに表れています。

出典:日本エアーテック株式会社|オールインワンクリーンルーム(2026年9月3日確認)

清掃用品の管理は、法令でも触れられています。食品衛生法施行規則の別表第十七は、施設設備の清掃用機材について「目的に応じて適切に使用するとともに、使用の都度洗浄し、乾燥させ、所定の場所に保管すること」と定めています。用品の置き場所と乾燥の動線を、平面計画の段階で確保しておいてください。

クリーンルームの清掃を求める規格と法令

清掃を直接扱う国際規格はISO 14644-5(運用)とISO 14644-13(表面の清掃)です。国内では医薬品のGMP省令と食品衛生法施行規則が、清掃の実施と記録を条文で求めています。

まずISO側を、版と現在の状態まで含めて整理します。清掃に関わる5つのパートは、いずれも2022年以降に改訂または新規発行されたものです。

クリーンルームの清掃を求める規格と法令
規格扱う範囲版と状態
ISO 14644-5運用。人と物の入退室、清掃、保守、モニタリングを含む運用管理プログラム2025年5月発行の第2版。2004年版は廃止
ISO 14644-13表面の清掃。求める清浄度を達成する清掃方法の評価2026年版が発行済み。2017年版は廃止
ISO 14644-9表面の粒子清浄度の評価2022年版が発行済み
ISO 14644-10表面の化学汚染の評価2022年版が発行済み
ISO 14644-18消耗品の適合性評価。ワイパー等の清掃用品が対象に入る2023年発行

出典:ISO 14644-5:2025/ISO 14644-13:2026/ISO 14644-18:2023(いずれも2026年9月3日にISO公式ページで版と発行状態を確認)。国内で対応するJISの整備状況は日本産業標準調査会(JISC)のJIS検索でご確認ください。

ISO 14644-5:2025の公式概要では、清掃は運用管理プログラム(operations control programme)の構成要素として、要員の管理、人と物の入退室、保守、モニタリングと並べて示されています。清掃を単独の作業ではなく、運用の管理体系の一部として文書化する——これが規格側の考え方です。

法令の側は、業種によって根拠が分かれます。医薬品ではGMP省令の第九条(構造設備)第一号が、製造所の構造設備について「手順書等に基づき、その用途に応じ適切に清掃及び保守が行われ、必要に応じ滅菌され、また、その記録が作成され、保管されていること」と定めています。さらに第十条(製造管理)第七号は、製造部門の業務として「構造設備の清浄を確認するとともに、その結果に関する記録を作成し、これを保管すること」を挙げています。

食品では食品衛生法施行規則の別表第十七が、施設の衛生管理として「施設及びその周辺を定期的に清掃し、施設の稼働中は食品衛生上の危害の発生を防止するよう清潔な状態を維持すること」を求めています。いずれの条文にも共通するのは「記録」と「手順書」で、清掃の作業そのものより、それを証明できる形が問われている点です。規格体系の全体像はクリーンルームの規格で整理しています。

清掃しやすさは設計段階で決まる

清掃のしやすさは、運用ではなく設計で決まります。目地の少ない床、丸めた入隅、埋め込み照明、露出を減らした配管はいずれも竣工後に変えられません。食品施設では法令上の構造要件でもあります。

食品衛生法施行規則の別表第十九は、営業施設の構造設備について「床面、内壁及び天井は、清掃、洗浄及び消毒(中略)を容易にすることができる材料で作られ、清掃等を容易に行うことができる構造であること」と定めています。同表は、床面及び内壁の清掃等に水が必要な施設について「床面は不浸透性の材質で作られ、排水が良好であること。内壁は、床面から容易に汚染される高さまで、不浸透性材料で腰張りされていること」とも定めています。清掃性は好みではなく、条文に書かれた設計要件です。

清掃しやすさは設計段階で決まる
設計項目清掃への効き方仕様書で確認すること
床材目地とすき間が少ないほど粒子がたまらない。水洗いの可否で選択肢が変わる継ぎ目の処理方法。使用する洗浄剤・溶剤への適合。床材と内装の選び方
入隅・巾木直角の隅は拭き残しが出る。丸みを付けると一拭きで通せる床と壁の取り合いをアールにするか、シールで納めるか
照明・天井埋め込み型は上面にほこりがたまらない。吊り下げ型は清掃部位が増えるクリーンルーム用の埋め込み照明か。天井パネルの目地処理
配管・配線露出配管は上面が堆積面になる。天井裏・壁内へ収めると清掃対象が減る露出せざるを得ない範囲と、その部位の清掃周期
装置の脚・キャスター床との間に手が入らないと下部が死角になる床とのクリアランス、または床への固定と隙間の閉塞
清掃用品の置き場室内に置くと発生源になる。室外に洗浄・乾燥の場所が要る前室・付帯室に清掃用機材の保管スペースがあるか

実際の製品仕様にも、この考え方が表れています。掲載企業の日本エアーテックはパッケージ製品の仕様として、壁天井材にクリーンルーム用パネル、床材に長尺塩ビシートを採用し、清浄度はISOクラス7(クラス10,000)と公表しています(2026年9月3日確認)。長尺のシート材は継ぎ目が少なく、拭き取りで面を通せる構成です。

設計段階でこれらを落とすと、毎日の清掃時間として何年も払い続けることになります。相談の初期に「1日あたり何分で清掃を終えたいか」を伝えると、内装仕様の議論が具体的になります。設計から引き渡しまでの進め方はクリーンルームの施工手順と見積もりの取り方にまとめています。

クリーンルームの清掃は外注と自社で分ける

清掃は、日常の作業を自社で回し、定期の精密清掃と清浄度の測定を外部に出す形に分けられます。設計施工会社やメーカーが保守契約として引き受けている例もあり、発注の段階で範囲を決められます。

クリーンルームの清掃は外注と自社で分ける
区分向いている作業決めておくこと
自社で行う日次・週次の清掃、粘着マットの交換、廃棄物の搬出、作業台の清拭手順書、担当者、教育の記録、用品の発注ルート
外部に委託する天井裏・通気床下などの停止時清掃、清浄度の測定、フィルタ交換に伴う清掃作業要員の入室教育を誰が行うか。報告書の様式と提出期限
保守契約に含める定期点検とセットの清掃・部品交換契約期間、点検項目、部品費が別途か込みか

当サイトの掲載12社のうち、公式サイトで維持管理の中身まで記載を確認できた例を挙げます(2026年9月3日確認)。いずれも清掃そのものではなく、清浄度の測定とフィルタ交換を軸にしたサービスとして公表されています。

クリーンルームの清掃は外注と自社で分ける
会社公式サイトで確認できた記載
伸榮産業製品設置・施工時に清浄度測定・風速測定を行って初期値を管理し、継続的な点検と、必要に応じたHEPA(ULPA)フィルターの交換作業を実施すると記載
日本エアーテックオプションの「メンテナンスパック」として、延長保証と1年ごとの定期点検をセット化。点検内容に性能・動作確認、室外機洗浄、外気処理HEPAフィルター交換等を記載

上表は、2026年9月3日時点で各社公式サイトの記載を確認できた範囲です。記載がない会社が対応していないという意味ではありません。維持管理の可否と範囲は、各社へ直接ご確認ください。

委託先を選ぶときに効くのは価格より報告書の中身です。測定点、測定した状態(非作業時か作業時か)、判定基準、逸脱時の連絡経路まで様式が決まっていれば、記録がそのまま監査対応の資料になります。清浄度の測り方は清浄度の維持と測定で扱っています。

清掃の範囲を見積書で確定させる

清掃に関わる費用は、見積書では施工費の外に出やすい項目です。竣工前の初期清掃、清浄度測定、手順書の作成、消耗品の初期セット、定期点検のどこまでを含むのか、1件ずつ確認してください。

清掃の範囲を見積書で確定させる
確認する項目確認の仕方抜けたときの影響
竣工前の清掃建築工事の粉じんを除去する清掃が含まれるか。範囲は室内だけか天井裏までか引き渡し直後に清浄度が出ず、原因の切り分けから始まる
清浄度の測定測定点数、判定する状態、報告書の様式まで決まっているか竣工検査の判定条件で揉める。外部委託になると費用が別途
清掃手順書の作成部位別の周期・用品・記録様式まで含むか。雛形の提供だけか運用開始後に自社で作ることになり、稼働が遅れる
作業者への教育入室手順と清掃手順の教育が含まれるか。再教育の扱いはどうか手順が守られず、清浄度が数値ごと崩れる
消耗品の初期セット無塵衣・ワイパー・粘着マットの初期数量が含まれるか稼働直後に追加発注になる
定期メンテナンス契約点検項目、周期、部品費の扱い、対応の期限故障時の対応が都度見積もりになり、停止時間が読めない

この6項目は金額の大小より「範囲」の問題です。同じ条件で各社に出してもらえば、総額の差を仕様の差として読めるようになります。見積もりの揃え方はクリーンルームの費用と施工手順と見積もりの取り方で詳しく扱っています。

最後に、清掃を軽く扱わないほうがよい理由をもう一度書いておきます。清掃は竣工後の毎日に効き続ける運用コストであり、同時に監査で最初に見られる記録でもあります。設計の段階で清掃性を仕様に書き、見積もりの段階で範囲を確定させておけば、この2つは同時に解けます。清掃・維持管理まで含めて相談できる会社を探す場合は、クリーンルーム設計施工会社の比較から、対応範囲を確認したうえで2〜3社へ同じ条件で問い合わせてください。清掃だけを専門業者に任せる場合の依頼先はクリーンルームの清掃業者の比較で公表情報つきで並べています。

※本記事は2026年9月3日時点で確認した規格・法令・各社公表情報にもとづきます。個別案件の要件は、根拠規格と設計施工会社への確認をお願いします。

クリーンルームの清掃に関するよくある質問

クリーンルームの清掃について、一般の掃除機を使えない理由、頻度の決まりの有無、進める順番、該当するISO規格、清掃しやすくする仕様の指定項目、設計施工会社に頼めるかに、本文の内容をもとに答えます。

クリーンルームの清掃に一般の掃除機を使ってはいけませんか?

HEPAフィルタを備えない掃除機は、吸い込んだ粒子を排気側から室内へ戻してしまうため、清掃のたびに汚染を広げることになります。クリーンルームでは排気がろ過される専用のバキュームを使い、ホースやノズルの材質も発塵しないものを選びます。清掃後に粒子数が上がる場合、この点が原因になっていることがあります。

クリーンルームの清掃頻度に決まりはありますか?

頻度の数値そのものは自社で決める形になります。GMP省令は第九条第一号で「手順書等に基づき、その用途に応じ適切に清掃及び保守が行われ」、その記録が作成・保管されていることを求めており、頻度ではなく手順書と記録を要件としています。部位ごとに日次・週次・月次・停止時と周期を分け、手順書に書いて記録するのが実務的な組み立て方です。

クリーンルームの清掃はどの順番で進めますか?

上から下へ、奥から手前へ、気流の上流から下流へ、狭い所から広い所へ、の4つの原則で動線を1本に決めます。天井側・奥・上流・隅から始めて、床・手前・下流・広い面で終える流れです。逆に進むと、清掃済みの場所へ粒子を運ぶことになり、作業そのものが汚染源になります。

清掃を扱っている規格はありますか?

ISO 14644-5(運用)とISO 14644-13(表面の清掃)が該当します。ISO 14644-5は2025年5月に第2版が発行され、清掃を要員管理・入退室・保守・モニタリングと並ぶ運用管理プログラムの構成要素として位置づけています。ISO 14644-13は2026年版が発行済みで、求める表面清浄度を達成する清掃方法の評価を扱います(2026年9月3日にISO公式ページで確認)。

清掃しやすいクリーンルームにするには何を指定すればよいですか?

床材の継ぎ目処理、入隅と巾木の形状、照明の埋め込み、配管・配線を露出させない納まり、装置の脚まわりのクリアランス、清掃用品の保管場所の6点を仕様書に書きます。食品衛生法施行規則の別表第十九は、床面・内壁・天井を清掃等が容易な材料と構造にすることを求めており、清掃性は法令上の設計要件でもあります。

清掃は設計施工会社に頼めますか?

会社によって対応範囲が異なります。当サイトの掲載12社では、伸榮産業が清浄度測定・風速測定とHEPA(ULPA)フィルターの交換作業を、日本エアーテックがオプションのメンテナンスパックとして年1回の定期点検を公式サイトに記載しています(2026年9月3日確認)。見積もりの段階で、竣工前清掃・清浄度測定・手順書の作成・定期点検のどこまでを含むかを確認してください。

この記事を書いた人

執筆・編集:クリーンルームラボ 編集部

クリーンルームの設計施工会社について、対応分野・施工体制・公表実績を公式情報にもとづいてまとめています。

参照した情報:ISO 14644-5:2025 Cleanrooms and associated controlled environments — Part 5: Operations/ISO 14644-13:2026 Part 13: Cleaning of surfaces/ISO 14644-18:2023 Part 18: Assessment of suitability of consumables/e-Gov法令検索|医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)/e-Gov法令検索|食品衛生法施行規則(別表第十七・別表第十九)/日本エアーテック オールインワンクリーンルーム(公表仕様・2026年9月3日確認)(2026年8月29日確認)

最終更新:2026年9月3日