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浮遊菌と落下菌の違いとは?
クリーンルームの基準値と測定方法の選び方

最終更新:2026年9月19日

浮遊菌と落下菌の違いとは? クリーンルームの基準値と測定方法の選び方維持管理浮遊菌と落下菌の違いとは?クリーンルームの基準値と測定方法の選び方

浮遊菌と落下菌の違いは、空気の量を決めて吸い込んで数えるか、培地を置いて落ちてきた菌を数えるかです。浮遊菌は空気1m³当たりの菌数(CFU/m³)、落下菌は培地1枚当たりの菌数(CFU/plate)で表すため、2つの数字をそのまま比べることはできません。

医薬品の無菌製造では、厚生労働省が送付した指針が、清浄度のグレードごとに浮遊菌と落下菌の許容基準を示しています。食品向けにあった落下細菌の目安は、2021年6月1日に通知ごと廃止されました。

この記事では、2つの指標の違い、基準値と測定頻度、数字の読み方と設計への生かし方を、2026年9月19日に確認した厚生労働省の原文にもとづいて整理します。

目次
  1. 浮遊菌と落下菌の違いは測り方と単位
  2. 浮遊菌とは空気中を漂う微生物
  3. 落下菌とは培地に落ちてくる微生物
  4. 浮遊菌と落下菌の基準値
    1. 警報基準値と処置基準値を分けて決める
  5. 浮遊菌と落下菌の測定頻度
  6. 落下菌の目安は食品工場では廃止済み
  7. 浮遊菌と落下菌の結果を設計に生かす
  8. 浮遊菌と落下菌に関するよくある質問

浮遊菌と落下菌の違いは測り方と単位

浮遊菌と落下菌は、どちらも空気中の微生物を見る指標ですが、捕まえ方と数字の単位が違います。浮遊菌は空気の体積当たり、落下菌は培地1枚当たりで数えます。

浮遊菌と落下菌の測り方と単位の違い
項目浮遊菌落下菌
見ているもの空気中に漂っている微生物一定時間のあいだに培地へ落ちてきた微生物
捕まえ方決まった量の空気を吸い込み、培地などに当てるか、ろ過して捕まえる(衝突法・ろ過法)ふたを開けた培地を置いて待つ(落下法)
単位CFU/m³(空気1m³当たり)CFU/plate(培地1枚当たり)
数字を左右する条件吸い込んだ空気の量培地の大きさと、置いておいた時間

出典:「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」11.1 7)②・表3を2026年9月19日に確認し、当サイトで整理しました

CFU(colony forming unit)とは、培養して数えた集落(コロニー)の数を表す単位です。落下菌の数字は、置いた時間が違えば同じ部屋でも変わるため、測定の条件を書かずに数字だけを比べることはできません。

浮遊菌とは空気中を漂う微生物

浮遊菌とは、空気中に漂っている細菌や真菌(カビ・酵母)などの微生物のことです。測るときは、空気を一定量吸い込む装置で捕まえ、培養して数を数えます。

無菌操作法の指針は、浮遊微生物のサンプリング方法として落下法・衝突法・ろ過法を挙げ、最も清浄度が高いグレードAでは、浮遊菌の1回のサンプリング量を1m³と定めています。その他の区域のサンプリング量は、清浄度や頻度などを根拠に事業者が決めます。

空気の量が決まっているため、部屋どうしや日ごとの比較がしやすいのが浮遊菌の特徴です。一方で、測定に使う装置は校正済みでバリデートされたものを使うよう、指針は求めています。粒子の清浄度(ISOクラス)との関係はクリーンルームのクラスとはで解説しています。

落下菌とは培地に落ちてくる微生物

落下菌とは、ふたを開けて置いた培地(シャーレ)に、一定時間のあいだに落ちてきた微生物のことです。吸引装置が要らず置くだけで測れ、医薬品の指針でも作業時間中に1枚最大4時間置いて測るとされています。

ただし、落下菌は置いた時間と培地の大きさで数字が変わります。医薬品の指針と、かつて食品向けに示されていた衛生規範では、条件がこれだけ違います。

医薬品の指針と旧衛生規範の落下菌の測定条件
条件無菌操作法の指針(医薬品)弁当及びそうざいの衛生規範(2021年6月1日廃止)
培地の大きさ通例、直径90mmのプレート直径9〜10cm・深さ1.5cmのペトリ皿を2〜3枚
置く時間1枚当たり最大4時間。作業時間中に測る細菌は5分間、真菌は20分間
置く場所モニタリングポイントを区域ごとに定める床面から80cmの高さの調理台面など
培養検出したい微生物に適した培地と温度細菌は35.0℃で48時間、真菌は23℃で7日間

出典:「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」11.1・表3、「弁当及びそうざいの衛生規範について」別紙の測定方法を2026年9月19日に確認し要約しました

最大4時間と5分では、置く時間に最大48倍の差があります。検査会社から届いた落下菌の数字は、何分置いたかを確かめてから基準と見比べてください。

浮遊菌と落下菌の基準値

クリーンルームの浮遊菌と落下菌の基準値として、具体的な数値を示している公的な資料の1つが、無菌医薬品の製造に関する厚生労働省の指針です。清浄度のグレードごとに、作業時の許容基準を例示しています。

無菌操作法の指針が示す環境微生物の許容基準(作業時)
グレード浮遊菌(CFU/m³)落下菌(CFU/plate)表面付着菌・コンタクトプレート(CFU/24〜30cm²)手袋(CFU/5指)
A(重要区域)1未満1未満1未満1未満
B(直接支援区域)10555
C1005025—
D20010050—

出典:「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」表3(2011年4月改訂版)を2026年9月19日に確認し転記しました。許容基準は平均値で評価し、落下菌は1枚当たり最大4時間までとされています

指針は表3を「判定基準例」として示しており、製品の種類や製造装置、空調設備によって汚染のリスクが違うため、必要に応じた適切なモニタリングプログラムを事業者が確立するよう求めています。数値は、処置基準値を決めるときの参考として使うものです。

警報基準値と処置基準値を分けて決める

指針は、基準を2段階で持つよう定義しています。警報基準値は、予知される問題点を早期に警告する値です。処置基準値は、達したら直ちに調査を行い、必要に応じて是正措置を採る値です。原則として、警報基準値を超えても製造を止める必要はありませんが、処置基準値を超えた場合は、関係する工程の製品を出荷する前に原因を究明します。グレードAで菌を検出した場合は、許容基準の範囲内でも製品への影響を評価するとされています。

浮遊菌と落下菌の測定頻度

浮遊菌と落下菌の測定頻度は、グレードAとBでは作業シフトごと、製品や容器が環境にさらされるCとDの区域では週2回が、指針の例示です。

無菌操作法の指針が示す環境モニタリングの頻度
グレード・区域空中浮遊微粒子空中微生物(浮遊菌・落下菌)表面付着菌(装置・壁など)表面付着菌(手袋・作業衣)
A作業中作業シフトごと作業終了後作業終了後
B作業中作業シフトごと作業終了後作業終了後
C・D(製品や容器が環境にさらされる区域)月1回週2回週2回—
C・D(その他の区域)月1回週1回週1回—

出典:「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」表2を2026年9月19日に確認し転記しました

頻度は作業の内容や時間に応じて増減してよいとされています。一方で、施設の運転開始直後、長期の運転停止の後、一部を変更した後はモニタリングを強化するよう求めています。改修や空調の変更を予定しているなら、工事後の測定計画まで見込んでおく必要があります。

落下菌の目安は食品工場では廃止済み

食品工場で使われてきた落下細菌の目安は、2021年6月1日に、根拠だった「弁当及びそうざいの衛生規範」ごと廃止されました。そのため、この数値は現在、国の通知としての目安ではありません。

この衛生規範(1979年)は、製造場内の各作業区域で次の数値となるよう清掃・消毒することが「望ましい」としていました。

廃止された弁当及びそうざいの衛生規範の落下細菌数の目安
作業区域落下細菌数(生菌数・5分間)落下真菌数(20分間)
汚染作業区域100個以下—
準清潔作業区域50個以下—
清潔作業区域30個以下10個以下

出典:厚生労働省「弁当及びそうざいの衛生規範について」(昭和54年6月29日 環食第161号)。廃止は薬生食監発0601第3号(令和3年6月1日)別紙1で確認。いずれも2026年9月19日確認

廃止を知らせた通知は、改正食品衛生法の本格施行に伴い、HACCPに沿った衛生管理などを踏まえて古い通知を整理したものです。落下菌を管理に使うなら、自社の衛生管理計画の中で測定条件と管理値を決めて記録することになります。かつての数値を社内の目安に使う場合も、5分間の条件とあわせて使わないと比べられません。異物や微生物の混入を防ぐ全体の考え方は異物混入対策で整理しています。

浮遊菌と落下菌の結果を設計に生かす

浮遊菌と落下菌の測定結果は、空調・更衣・清掃のどこに原因があるかを探す手がかりとして使います。数字が基準を超えたとき、測り直すだけでなく、設備と運用の両方を見直せるように計画しておくことが大切です。

微生物を管理する部屋そのものの考え方はバイオクリーンルームとは、医薬品の清浄度区分はクリーンルームのグレードとは、再生医療の施設は細胞培養加工施設とはで解説しています。

新設や改修では、どの区域をどのグレードで管理し、どこに測定ポイントを置くかを、設計の段階で施工会社と決めておきます。当サイトでは、設計施工会社をクリーンルーム設計施工会社の比較ページで公表情報つきで並べています。食品工場は食品工場のクリーンルーム施工会社、医薬品工場は医薬品GMPクリーンルームの施工会社も参考にしてください。

参照:厚生労働省 事務連絡「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」の改訂について/同指針 本文(医薬品医療機器総合機構)/厚生労働省「弁当及びそうざいの衛生規範について」/厚生労働省 薬生食監発0601第3号

浮遊菌と落下菌に関するよくある質問

浮遊菌と落下菌について、捕まえ方と単位の違い、培地に落ちた菌をどう数えるか、両者の数値を換算できるか、無菌医薬品の指針が示すグレード別の許容基準など、測定前に多い質問に本文の内容をもとに答えます。

浮遊菌と落下菌の違いは何ですか?

捕まえ方と単位が違います。浮遊菌は決まった量の空気を吸い込んで捕まえ、空気1m³当たりの菌数(CFU/m³)で表します。落下菌はふたを開けた培地を置いて落ちてきた菌を数え、培地1枚当たり(CFU/plate)で表します。

落下菌とは何ですか?

一定時間のあいだに、ふたを開けて置いた培地へ落ちてきた微生物のことです。装置が要らず作業中の状態を続けて見られますが、置いた時間と培地の大きさで数字が変わるため、測定条件とセットで読みます。

浮遊菌と落下菌の数値は換算できますか?

そのままでは比べられません。浮遊菌は空気の体積当たり、落下菌は培地1枚当たりの数で、単位が違います。無菌操作法の指針も、浮遊菌と落下菌に別々の許容基準を示しています。

クリーンルームの落下菌の基準はいくつですか?

無菌医薬品の製造に関する厚生労働省の指針では、作業時の落下菌の許容基準をグレードAで1未満、Bで5、Cで50、Dで100(CFU/plate、1枚最大4時間)と例示しています。食品向けにあった衛生規範の落下細菌数の目安は、2021年6月1日に廃止されました。

この記事を書いた人

執筆・編集:クリーンルームラボ 編集部

クリーンルームの設計施工会社について、対応分野・施工体制・公表実績を公式情報にもとづいてまとめています。

参照した情報:厚生労働省 事務連絡「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」の改訂について(平成23年4月20日)/「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」本文(医薬品医療機器総合機構 掲載PDF)/厚生労働省「弁当及びそうざいの衛生規範について」(昭和54年6月29日 環食第161号・2021年6月1日廃止)/厚生労働省 薬生食監発0601第3号「食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う営業等の取扱いについて」(令和3年6月1日)(2026年8月29日確認)

最終更新:2026年9月19日