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半導体のクリーンルームとは?
必要な理由と清浄度クラス・温湿度の目安

最終更新:2026年9月24日

半導体のクリーンルームとは? 必要な理由と清浄度クラス・温湿度の目安設計・設備半導体のクリーンルームとは?必要な理由と清浄度クラス・温湿度の目安

半導体のクリーンルームは、工程によって求める清浄度がまったく違います。ウェハが露出する前工程・露光まわりでISOクラス1〜4相当、後工程の組立ではISOクラス6〜8相当が一般的な目安で、部屋全体を最高水準にする必要はありません。

回路の微細化が進んだ半導体では、目に見えない微粒子の付着がそのまま不良になります。だからといって清浄度を一律に厳しくすると、建設費と電気代の両方が恒久的に増えてしまいます。粒子と並んで効くのが温湿度で、露光工程では温度±0.2℃以下・湿度±2〜5%という狭い幅で管理する例もあります。

この記事では、半導体にクリーンルームが必要な理由、工程別のクリーン度、空調の仕組み、温湿度の目安と静電気との関係、粒子以外に管理する条件、施工の進め方までを整理します。

目次
  1. 半導体にクリーンルームが必要な理由
  2. 半導体のクリーン度と工程別の清浄度クラス
  3. 半導体クリーンルームの空調の仕組み
  4. 半導体工場で清浄度以外に管理する4条件
  5. 半導体クリーンルームの温湿度の目安
    1. 半導体クリーンルームの湿度は下限と上限の両方で決める
    2. 湿度10〜25%と65〜90%では帯電電圧が10倍以上違う
    3. ±0.1℃級の精度は精密空調で局所的に作る
  6. 半導体クリーンルームの施工の進め方
  7. 半導体のクリーンルームに関するよくある質問

半導体にクリーンルームが必要な理由

半導体のクリーンルームとは、空気中の微粒子を工程が要求する水準まで抑えて管理する、半導体製造専用の部屋のことです。回路の線幅より大きな粒子がウェハに付くと、その箇所は不良になります。

粒子の管理が歩留まりに直結する点が、他の業種との最大の違いです。

半導体の製造では、シリコンウェハの表面にナノメートル単位の回路を焼き付けていきます。回路より大きな粒子が露光や成膜の途中で付着すると、配線の短絡や断線が起き、そのチップは製品になりません。粒子は目に見えないため、発生してから取り除くのではなく、そもそも粒子が飛ばない部屋を作って持ち込まないという発想で管理します。

清浄度の区分はISO 14644-1という国際規格で定められており、空気1立方メートルあたりの粒子数の上限で等級が決まります。規格の体系は日本産業標準調査会(JISC)でJIS規格として検索できます。等級の読み方と旧クラス表記との対応はクリーンルームのクラス早見表で解説しています。

見落とされがちですが、部屋の中で最大の発塵源は作業する人そのものです。防塵衣・エアシャワー・入退室の動線まで含めて初めて清浄度が保てます。運用側の決まりごとはクリーンルームの入室手順に分けてまとめました。

半導体のクリーン度と工程別の清浄度クラス

半導体のクリーンルームに必要なクリーン度(清浄度)は、工程ごとに決めます。目安はウェハが露出する前工程・露光まわりでISOクラス1〜4相当、前工程の一般エリアでISOクラス5〜6相当、後工程の組立でISOクラス6〜8相当です。

半導体工場の工程別に見た清浄度クラスの目安
領域目安のISOクラス旧クラス表記の目安考え方
前工程・露光まわりISOクラス1〜4相当クラス1〜10(ISOクラス1・2に対応する旧表記はない)ウェハが露出する工程。装置内を局所的に清浄化し、部屋全体は1ランク緩めるミニエンバイロメントの考え方が一般化している
前工程の一般エリアISOクラス5〜6相当クラス100〜1,000一方向流と非一方向流の併用。作業者の動線と装置のメンテナンススペースで決まる
後工程・組立ISOクラス6〜8相当クラス1,000〜100,000非一方向流で換気回数を確保する構成。清浄度より温湿度の安定を優先する工程もある
付帯(更衣・搬入)ISOクラス7〜8相当クラス10,000〜100,000エアシャワー・パスボックスで段階的に清浄度を上げる。ここを省くと本室の清浄度が保てない

上表は工程の一般的な考え方を整理したものです。要求清浄度は製品の設計ルールと装置メーカーの仕様で決まるため、必ず装置メーカーの設置要求仕様書を先に取り寄せてください。

旧表記との対応も押さえておくと、社内資料と各社の見積もりを突き合わせられます。ISOクラス3が旧クラス1、ISOクラス4が旧クラス10、ISOクラス5が旧クラス100におおむね対応します。基準体積も対象粒径も違うため厳密な等価ではなく、仕様書にはどちらの規格に基づくかを必ず明記するのが実務の鉄則です。

クリーン度の数字が示す中身も確認しておきます。空気1立方メートルあたりの0.5µm以上の粒子の上限は、ISOクラス5で3,520個、ISOクラス4で352個、ISOクラス3で35個です。ISOクラス1・2は0.1µm以上の粒子で判定し、上限はそれぞれ10個・100個です(JIS B 9920-1:2019、ISO 14644-1:2015と一致)。クラスが1つ厳しくなるごとに上限は10分の1になるため、前工程と後工程では許される粒子の数が桁違いに変わります。粒径ごとの全体の表はクリーンルームのクラス早見表にあります。

清浄度を1ランク厳しくすると、送風量と設備容量が増え、建設費だけでなく電気代も恒久的に増えます。部屋全体を厳しくするのではなく、ウェハが露出する範囲だけを装置内やブースで局所的に清浄化する構成が、コストを抑える定石になっています。

半導体クリーンルームの空調の仕組み

半導体のクリーンルームの空調は、天井のフィルターから清浄な空気を床へ向けて一様に流す垂直一方向流(ダウンフロー)が基本形です。発生した粒子を舞い上げず、そのまま床側へ押し流して回収します。

気流の方式は大きく2つに分かれます。どちらを使うかは要求クラスで決まり、1つの工場の中でも領域ごとに使い分けます。

一方向流方式と非一方向流方式の違い
項目一方向流(層流)方式非一方向流(乱流)方式
気流天井から床へ一様に流す。吹出口から清浄空気を送り、室内の空気と混ぜて薄める。
得られる清浄度高い。ISOクラス5より清浄な領域に使う。中程度。ISOクラス6〜8の領域に使う。
設備の規模天井全面にフィルターを敷き詰めるため大きい。吹出口の数で調整でき、比較的小さい。
半導体での使いどころ前工程のウェハが露出する領域。後工程の組立、付帯区域。

天井に並べるのがFFU(ファンフィルターユニット)です。ファンとHEPAフィルターを一体にした機器で、コトヒラ工業の公表仕様では0.3µm以上の粒子で99.99%以上の捕集効率とされています(2026年9月8日確認)。機器の選び方と風量の目安はFFUの解説記事で詳しく扱っています。

部屋全体を一方向流にすると設備が大きくなるため、装置の周囲だけを囲って局所的に高い清浄度を作るミニエンバイロメントと呼ばれる構成が半導体の分野では一般化しています。空調全体の構成要素と方式の選び方はクリーンルームの空調の仕組みをご覧ください。

半導体工場で清浄度以外に管理する4条件

半導体のクリーンルームでは、粒子の数だけを抑えても歩留まりは安定しません。温湿度・静電気・微振動・分子状汚染(AMC)の4つを、清浄度クラスとは別の仕様として決める必要があります。

  • 温湿度——露光の精度は温度変化の影響を受けるため、一般の空調より狭い範囲で制御します。湿度が低すぎると静電気が増え、高すぎると薬液や表面状態に影響します。工程別の数値の目安は次の見出しで、考え方はクリーンルームの温湿度管理で整理しています
  • 静電気——帯電したウェハや部品は粒子を引き寄せ、放電すれば素子そのものを壊します。床材や作業服の選定と加湿・除電設備をセットで計画します
  • 微振動——ナノメートル単位の加工装置は、人の歩行や外の交通による振動でも精度が落ちます。装置の設置階や基礎構造など、建築側で決まる条件です
  • 分子状汚染(AMC)——気体状の化学物質による汚染で、半導体では粒子より問題になることがあります。HEPAフィルターでは捕集できず、ケミカルフィルターなど別の対策が要ります。製品を公開しているメーカーはケミカルフィルターのメーカー比較で整理しています

4つとも、後から追加しようとすると建物や空調の作り直しになりやすい項目です。清浄度クラスと同じタイミングで、装置メーカーの設置要求仕様書に沿って要否を決めてください。

半導体クリーンルームの温湿度の目安

半導体クリーンルームの温湿度は、露光(フォトリソグラフィ)工程で温度22〜24℃・変動±0.2℃以下、湿度45〜50%・変動±2〜5%が目安の一例です。

精密空調機メーカーのアピステが公表している工程別の条件で、エッチングや成膜では温度の許容幅が±2℃以下まで広がります(2026年9月24日確認)。

半導体の工程別に見た温度・湿度の条件の例
工程温度湿度
フォトリソグラフィ(露光)22〜24℃(変動±0.2℃以下)45〜50%(変動±2〜5%)
ドライエッチング22〜24℃(変動±2℃以下)45〜50%(変動±5%以下)
スパッタリング(成膜)22〜24℃(変動±2℃以下)45〜50%(変動±5%以下)

出典:アピステ|温度管理と湿度管理の「産業空調における温湿度コントロール」の表(2026年9月24日確認)から半導体の3工程を当サイトが抜粋。工程ごとの一般的な例であり、個別の装置の要求値ではありません。

半導体クリーンルームの湿度は下限と上限の両方で決める

半導体クリーンルームの湿度は、低すぎると静電気が起きやすくなり、高すぎるとフォトレジストの密着や金属配線の腐食、吸湿による材料の寸法変化に影響します。このため温度と同じく、一般の空調より狭い許容幅で管理します。設定値と許容幅は装置メーカーの設置要求仕様書に指定されていることが多いので、それをそのまま設計条件として施工会社に渡してください。加湿と除湿の両方が要るため、外気処理の容量が空調費を左右します。静電気側の対策はクリーンルームの静電気対策、法令が定める温湿度の範囲はクリーンルームの温湿度管理で整理しています。

湿度10〜25%と65〜90%では帯電電圧が10倍以上違う

湿度と静電気の関係は、数字で見ると差がはっきりします。静電気放電(ESD)対策の規格を策定している米国のESD Associationは、同じ動作でも相対湿度によって発生する電圧が大きく変わる例を示しています(2026年9月24日確認)。

相対湿度別に見た帯電電圧の例
帯電の起こり方相対湿度10〜25%相対湿度65〜90%
カーペットの上を歩く35,000V1,500V
ビニールタイルの上を歩く12,000V250V
作業台で作業する人6,000V100V

出典:ESD Association|Fundamentals of Electrostatic Discharge Part OneのTable 1(2026年9月24日確認)から3項目を当サイトが抜粋・和訳。

ただし同団体は、湿度が高くても帯電そのものは起きると注記しています。上の例のように半導体の工程は湿度45〜50%前後で管理されることが多く、静電気のためだけに湿度を65%以上へ上げることはできません。湿度で帯電を減らしたうえで、残りを接地とイオナイザーで抑える組み合わせが前提になります。手段の使い分けはクリーンルームの静電気対策で解説しています。

±0.1℃級の精度は精密空調で局所的に作る

露光工程の±0.2℃以下という幅は、建物全体の空調だけで保つのが難しい水準です。アピステが示す目安では、全体空調の精度が温度±2〜4℃・湿度±5〜10%、一般的な空調が温度±1〜2℃・湿度±5%であるのに対し、精密空調は温度±0.1℃・湿度±0.5〜1%とされています(2026年9月24日確認)。

そこで、部屋全体の温湿度は外気処理と循環空調で整え、厳しい精度が要る装置の周りだけを精密空調で制御する方法があります。清浄度を装置内で局所的に作るミニエンバイロメントと同じ発想で、狭い許容幅を求める範囲が小さいほど空調の容量を抑えられます。精密空調機を製品として公開しているメーカーは精密空調機のメーカー比較で並べています。

半導体クリーンルームの施工の進め方

半導体のクリーンルームの施工は、装置メーカーの設置要求仕様書を取り寄せてから、設計施工会社に相談するのが正しい順番です。要求清浄度・温湿度・振動条件が決まらないまま見積もりを取っても、金額は比較できません。

相談から引き渡しまでの標準的な工程と、各段階で発注者が決めることはクリーンルームの施工手順にまとめています。費用の考え方はクリーンルームの費用の記事のとおりで、清浄度と面積で金額は大きく動きます。

会社選びでは、半導体・電子部品分野の実績を公式サイトで確認できるかが最初の絞り込みになります。当サイトでは、半導体・電子部品工場への対応を公表している会社を半導体工場のクリーンルーム施工会社の比較ページで公表情報つきで並べています。用途を問わず全体から探す場合は設計施工会社の比較ページから、対応範囲と実績で絞り込んでください。

半導体のクリーンルームに関するよくある質問

半導体のクリーンルームについて、工程ごとに必要な清浄度クラス、旧クラス表記との違い、部屋全体を最高クラスにしない理由、湿度の目安と静電気の関係、施工会社の選び方など、発注前に多い質問に本文の内容をもとに答えます。

半導体のクリーンルームはクラスいくつが必要ですか?

工程によって異なります。ウェハが露出する前工程・露光まわりでISOクラス1〜4相当、前工程の一般エリアでISOクラス5〜6相当、後工程の組立でISOクラス6〜8相当が一般的な目安です。実際の要求値は製品の設計ルールと装置メーカーの設置要求仕様書で決まります。

なぜ半導体の製造にクリーンルームが必要なのですか?

半導体はナノメートル単位の回路をウェハに焼き付けるため、回路より大きな粒子が付着すると短絡や断線が起きて不良になるからです。粒子は発生してから取り除くのではなく、清浄な部屋を作って持ち込まない発想で管理します。

クラス1とISOクラス1は同じ意味ですか?

別の体系です。「クラス1」は旧・米国連邦規格の表記で、ISO 14644-1ではISOクラス3におおむね対応します。基準体積も対象粒径も違うため厳密な等価ではありません。仕様書にはどちらの規格に基づくかを必ず明記してください。

部屋全体を最高クラスにしなくてよいのですか?

推奨されません。清浄度を1ランク上げるごとに送風量と設備容量が増え、建設費と電気代が恒久的に増えます。ウェハが露出する範囲だけを装置内やブースで局所清浄化するミニエンバイロメントの構成が、半導体では一般化しています。

半導体対応のクリーンルーム施工会社はどう選べばよいですか?

半導体・電子部品分野の実績と対応範囲を公式サイトで公表しているかが最初の絞り込みです。当サイトの半導体工場向け比較ページでは、公式サイトで確認できた記載を出典つきで並べています。装置メーカーの設置要求仕様書を先に取り寄せてから相談すると、見積もりの比較が正確になります。

半導体のクリーンルームの湿度は何%が目安ですか?

工程と装置で決まります。精密空調機メーカーのアピステが公表している例では、露光(フォトリソグラフィ)工程で湿度45〜50%・変動±2〜5%、ドライエッチングやスパッタリングで45〜50%・変動±5%以下です(2026年9月24日確認)。実際の設定値と許容幅は装置メーカーの設置要求仕様書に従ってください。

湿度を上げれば半導体工場の静電気は防げますか?

帯電は減りますが、湿度だけでは防げません。ESD Associationの例では、カーペットの上を歩いたときの帯電は相対湿度10〜25%で35,000V、65〜90%で1,500Vですが、高湿度でも帯電はなくなりません。半導体の工程は湿度を工程条件で決めるため、接地とイオナイザーを組み合わせて対策します。

この記事を書いた人

執筆・編集:クリーンルームラボ 編集部

クリーンルームの設計施工会社について、対応分野・施工体制・公表実績を公式情報にもとづいてまとめています。

参照した情報:日本産業標準調査会(JISC)/コトヒラ工業 FFU(ファンフィルタユニット)製品ページ・公表仕様/アピステ コラム「温度管理と湿度管理」(産業空調の工程別温湿度条件・空調方式別の精度の目安)/ESD Association「Fundamentals of Electrostatic Discharge Part One – An Introduction to ESD」Table 1/日本産業標準調査会(JISC)JIS B 9920-1:2019(ISO 14644-1:2015と一致)清浄度クラスの上限粒子数/当サイト調べ(掲載企業の公式サイトを2026年9月8日に確認)(2026年8月29日確認)

最終更新:2026年9月24日