FFU(ファンフィルターユニット)とは、送風ファンとHEPA/ULPAフィルタを1つの筐体にまとめた空気清浄ユニットのことです。天井に並べたりクリーンブースに載せたりして、ろ過した清浄空気を下向きに吹き出します。
公表されている仕様の実例では、風量は最小0.6m³/minから最大24.3m³/min、騒音は45〜67dB(コトヒラ工業KFU2シリーズ・2026年8月31日確認)。この記事では、FFUの仕組み、空気清浄機との違い、メーカー2社の公表仕様、そして風量・騒音・電源という選定の3軸を、発注検討の順番で整理します。
目次
FFUとはファンとフィルタを一体化した装置
FFUとは、Fan Filter Unit(ファンフィルターユニット)の略で、送風ファンと高性能フィルタを一体化し、清浄な空気を供給する装置のことです。クリーンルームやクリーンブースの「清浄空気の出口」を担う、クリーン化の中核機器です。
動きは単純です。上部から室外またはリターン経路の空気をファンで吸い込み、内部のフィルタでろ過して、下面から清浄空気を吹き出す。この「吸って・ろ過して・吹き出す」だけの箱を、必要な数だけ天井面に並べることで、部屋やブースの清浄度を作ります。
構成部品は大きく3つです。
| 部品 | 役割 | 交換の考え方 |
|---|---|---|
| プレフィルタ(不織布) | 大きな塵を先に取り、メインフィルタの寿命を延ばす | 短い周期で交換する消耗品 |
| メインフィルタ(HEPA/ULPA) | 微粒子を捕集する本体。公表仕様では0.3µm以上の粒子で99.99%以上の捕集効率 | 目詰まりで風量が落ちる。交換時期は差圧で判断 |
| 送風ファン | 風量を作る。風量可変のモデルが主流 | 機械部品として寿命管理。故障検知の通信オプションを持つ機種もある |
「ファンフィルターユニット」のほか、クリーンユニットと呼ばれることもあります。呼び名は違っても、ファンとフィルタの一体ユニットという構造は共通です。
FFUの気流はどう流れるか
FFUの吹き出す気流は、天井から床へ向かう下向きの流れが基本です。発生した粒子を人や製品のいる高さから床へ押し下げ、床近くの排気・リターンで回収する——この一方向の流れがクリーン化の原理です。
気流の作り方は設置密度で変わります。天井面にFFUをすき間なく並べれば、部屋全体が一方向流(層流)に近づき、半導体前工程のような高い清浄度を狙えます。逆に、天井の一部にだけ設置すれば、清浄空気で室内の空気を薄める希釈方式になります。同じFFUでも、並べる密度によって作れる清浄度の上限が変わるということです。
ここで効いてくるのが換気回数(1時間に室容積の何倍の空気を送るか)です。必要風量はクラスと部屋の容積から決まり、FFUの台数は「必要風量 ÷ 1台あたりの風量」で概算できます。換気回数の考え方と差圧の設計はクリーンルームの換気回数と差圧に、清浄度クラスの定義はISOクラスの早見表にまとめています。
注意したいのは吹き出しの向きと周囲の干渉です。FFUの近くに背の高い装置や棚があると、下向きの気流が乱れて渦になり、粒子が滞留する場所ができます。FFUの選定と同時に、装置レイアウトを気流で確認するのが設計の実務です。
FFUと空気清浄機・HEPAフィルタの違い
FFUは「清浄空気を作って空間へ供給する装置」、空気清浄機は「室内の空気を吸って戻す家電」、HEPAフィルタは「その中に入るろ材」です。混同されやすい3つを並べて整理します。
| FFU | 空気清浄機 | HEPAフィルタ単体 | |
|---|---|---|---|
| 役割 | 天井・ブース上部から清浄空気を一方向に供給し、清浄空間を作る | 室内空気を循環ろ過して浮遊粒子を減らす | ろ過を担う部品。送風の機能はない |
| 気流の設計 | 下向きの一方向流を作れる。台数と配置で清浄度を設計できる | 吹き出しの向き・風量は機器任せで、清浄度の保証はない | 組み込む機器・空調側の設計による |
| 使いどころ | クリーンルーム・クリーンブース・装置内の清浄化 | 一般室の環境改善 | FFUや空調機に組み込む |
言い換えると、空気清浄機を何台置いてもクリーンルームにはなりません。清浄度をクラスとして保証するには、必要風量を計算した上でFFUを配置し、測定で確認する必要があります。FFUはそのための「設計できる清浄空気の供給源」です。
FFUの公表仕様をメーカー2社の実例で見る
FFUの仕様は公表しているメーカーがあり、寸法・風量・騒音・電源まで数値で確認できます。当サイト掲載のクリーン機器メーカー2社の公表値を見てみます(いずれも2026年8月31日確認)。
コトヒラ工業のKFU2シリーズは6モデル構成で、仕様は次のとおりです。
| 項目 | 公表値(シリーズ全体) |
|---|---|
| 本体寸法 | 250×250×122mm(最小)〜1220×610×152mm(最大) |
| 風量 | 最小0.6m³/min 〜 最大24.3m³/min(モデル・風量設定による) |
| 騒音 | 45〜67dB(モデル・風量設定による) |
| 捕集効率 | 99.99%以上(0.3µm以上の粒子・HEPAフィルタ) |
| 電源・消費電力 | AC100〜240V(50/60Hz)またはDC24V/36V、消費電力5〜185W |
日本エアーテックも、FFU(ファン付HEPAフィルターユニット)として集塵効率0.3μm粒子にて99.99%以上のSS-MAC(帯電防止樹脂製)やEC-MAC(ステンレス製)などを公表しています。コトヒラ工業は薄型・軽量、DCファンによる消費電力の削減、ファン故障検知信号・差圧異常信号の取り出し(オプション)を、日本エアーテックはDCブラシレスモーターによる省電力化を挙げており、機能差はカタログで比較できます。
この2つの実例から読み取れるのは、FFUの性能表示は「風量」「騒音」「捕集効率」「電源」の4項目でほぼ共通しているということです。つまり比較の物差しが揃っており、次の章の選定軸がそのまま使えます。
FFUの選び方は風量・騒音・電源の3点
FFUの選定は、①必要風量から台数と機種を決め、②騒音の制約を確認し、③電源と制御方式を合わせる、の3点で進めます。捕集効率はどのメーカーもHEPAで99.99%級のため、実務の差はこの3点に出ます。
| 選定軸 | 確認すること | 見落とすと起きること |
|---|---|---|
| ①風量 | 目標クラスと室容積から必要風量を計算し、1台あたり風量で割って台数を出す。フィルタの目詰まりを見込んだ余裕を持たせる | 台数不足で清浄度が出ない。逆に過剰だと電力と騒音が無駄に増える |
| ②騒音 | 公表値は45〜67dBと機種・風量で差がある。人が常時作業する部屋では台数分の合成音を確認する | 作業環境がうるさく、風量を下げて運用→清浄度が崩れる悪循環 |
| ③電源・制御 | AC/DCの別、風量可変の方式、故障検知・監視の通信オプション | 増設時に電源が合わない。フィルタ交換や故障の検知が人頼みになる |
もうひとつ、見積もり段階で必ず確認したいのがフィルタ交換の作業性です。FFUは設置して終わりではなく、プレフィルタとHEPAフィルタの交換が運用の固定費になります。天井裏から交換するのか室内側から外せるのか、交換時に生産を止める範囲はどこまでか——HEPAフィルターの交換時期とあわせて、運用まで含めて機種を選んでください。
FFUの設置方法と使われる場所
FFUの設置先は「クリーンルームの天井」「クリーンブースの上部」「装置・設備への組み込み」の3つに大別できます。どれも構造は同じで、違うのは清浄化する空間の広さです。
| 設置先 | 使い方 | 向くケース |
|---|---|---|
| クリーンルームの天井 | システム天井にモジュールとして並べる。密度で清浄度を設計する | 部屋全体を清浄化する本設のクリーンルーム |
| クリーンブースの上部 | ブースの天面に載せ、ブース内だけを清浄化する | 工程の一部だけ清浄度が要る場合。クリーンブースは75万円からの公表価格例がある |
| 装置への組み込み | 検査装置・充填装置などの内部に清浄空気を供給する | 製品が露出する箇所だけを局所清浄化したい場合 |
発注判断として重要なのは、「部屋全体のクラスを上げる」より「必要な場所だけFFUで局所清浄化する」ほうが、設備も電力も小さく済むことが多いという点です。要求清浄度が高い工程が一部に限られるなら、部屋はほどほどのクラスにして、その工程だけブースや装置内清浄化で守る構成を先に検討してください。
FFUの価格は個別見積もりが基本
FFU本体の価格は、コトヒラ工業は公表していません。日本エアーテックは公式オンラインショップで、小型のHEPAフィルターユニットに限って販売価格を載せています(MAC-15が税込77,000円など・2026年9月25日確認)。それ以外は機種・台数・制御・フィルタ仕様の組み合わせで変わるため、個別見積もりが基本です。
見積もりの取り方は2通りあります。数台までの増設や交換なら、メーカーへ直接問い合わせて機器見積もりを取る。部屋やブースの新設・改修に伴う導入なら、設計施工会社に清浄度の要求条件を伝え、FFUの機種選定・台数計算・レイアウトまで含めた提案として受け取るのが実務的です。台数計算を発注者側で確定させる必要がなくなり、清浄度の責任範囲も明確になります。
いずれの場合も、機器代のほかに取付工事費・電源工事費・試運転調整費・予備フィルタが見積もりに含まれているかを確認してください。見積もり全体の読み方は施工手順と見積もりの取り方に、費用の全体像はクリーンルームの費用にまとめています。設計施工まで対応できる会社はクリーンルーム設計施工会社の比較から確認できます。
※本記事の仕様値は2026年8月31日時点の各社公表情報にもとづきます。最新の仕様・対応条件は各社の公式情報でご確認ください。
FFU(ファンフィルターユニット)に関するよくある質問
FFU(ファンフィルターユニット)について、名称の意味、空気清浄機との違い、公表されている風量の実例、フィルタ交換の判断基準、単体でクリーンルームを作れるかなど、よくある質問に本文の内容をもとに答えます。
FFUとは何の略ですか?
Fan Filter Unit(ファンフィルターユニット)の略です。送風ファンとHEPA/ULPAフィルタを1つの筐体にまとめた空気清浄ユニットで、天井やクリーンブース上部に設置し、ろ過した清浄空気を下向きに吹き出します。
FFUと空気清浄機はどう違いますか?
空気清浄機は室内の空気を吸って戻す循環ろ過の家電で、清浄度の保証はありません。FFUは必要風量を計算して配置することで、下向きの一方向流を作り、清浄度をクラスとして設計・保証できる点が違います。
FFUの風量はどのくらいですか?
公表仕様の実例では、コトヒラ工業KFU2シリーズが最小0.6m³/minから最大24.3m³/min(6モデル・2026年8月31日確認)です。必要風量は目標クラスと室容積から計算し、1台あたりの風量で割って台数を決めます。
FFUのフィルタはどのくらいで交換しますか?
使用環境の粉じん量で変わるため、一律の年数では決められません。プレフィルタは短い周期の消耗品、HEPAフィルタは目詰まりによる差圧の上昇で判断するのが実務です。判断基準は当サイトのHEPAフィルター交換の記事で解説しています。
FFUだけでクリーンルームは作れますか?
小空間なら可能です。クリーンブースはFFUをブース上部に載せた構成で、公表価格の例では75万円からあります。部屋全体を本設のクリーンルームにする場合は、空調・間仕切り・差圧設計を含む設計施工の領域になり、FFUはその中の給気ユニットとして組み込まれます。
この記事を書いた人
執筆・編集:クリーンルームラボ 編集部
クリーンルームの設計施工会社について、対応分野・施工体制・公表実績を公式情報にもとづいてまとめています。
参照した情報:コトヒラ工業 FFU(ファンフィルタユニット)製品ページ・公表仕様/日本エアーテック クリーンブース/SS-MAC/FFU 製品一覧/JIS Z 8122 コンタミネーションコントロール用語(日本産業標準調査会)(2026年8月29日確認)
最終更新:2026年9月25日
