ケミカルフィルターとは、空気中にガスの状態で含まれる酸・アルカリ・有機物などの化学物質を、活性炭やイオン交換樹脂などの吸着剤で取り除くエアフィルターです。掲載5社のうち価格を公表しているのは1社で、プリーツ型が3万円~50万円(税別、カスタム内容により変動)の価格帯です(2026年9月24日確認)。
比べる前に決めるのは4点です。除去したいガスの種類、ろ材、付ける場所(外調機・循環系・FFU・装置)、寿命をどう管理するか。5社はこの4点で分かれます。
粒子を取るフィルターはHEPAフィルターの交換とULPAフィルターで扱っています。このページはガスを取るケミカルフィルターのメーカー選びに絞りました。
目次
ケミカルフィルターを製品として公開している5社
この製品・サービスの取り扱いを公式サイトで確認できたケミカルフィルターメーカー5社です。掲載順は順位ではありません(設立の古い順)。用途ごとの記載根拠はこの下の表にまとめています。選定の考え方は掲載・選定基準をご覧ください。
| 会社名 | 本社・拠点 | 主な製品・型式 | 事業内容 | 価格の公表 |
|---|---|---|---|---|
| 日本無機株式会社 | 東京都台東区 | ピュアケミックスG/イオケミックス/薄形ケミカルフィルタ/長寿命形ケミカルフィルタシリーズ/ピュアスメルフィルタほか | フィルタ・クリーン機器及びその応用製品の製造及び販売 | — |
| ニッタ株式会社 | 大阪市浪速区/東京支店・奈良工場ほか | プリーツ型GIGAWAVE/配管ケミカルフィルタENILSORB/チューブ型Tubescleaner/簡易型静的化学吸着剤SENAMO | クリーンエンジニアリング事業部。ケミカルフィルタの開発・設計・製造・分析を奈良工場で実施 | ◯ |
| ケンブリッジフィルターコーポレーション株式会社 | 東京都港区/那須工場ほか | ケミアレスト(ファンフィルタユニット搭載用CBM/循環空調用CBS/トレータイプCB-T/トレータイプダクト接続型) | エア・フィルタ及びその関連機器の製造・販売、測定・管理・保守・定期検査 | — |
| ピュアテック株式会社 | 愛知県名古屋市/東京営業所ほか | ピュアライト(ペレット)/ピュアゲート(プリーツ)/ピュアアクト(ハニカム)/クリーンソーブⅡ(活性炭素繊維)ほか10製品 | 各種ガス吸着剤及びエアフィルタの設計・製造・販売、環境測定及び各種化学分析 | — |
| 株式会社イー・シー・イー | 千葉県袖ヶ浦市 | EPIXフィルタ(イオン交換タイプ)/有機ガスフィルタ(活性炭タイプ)/複合フィルタ(イオン交換+活性炭) | 放射線グラフト重合技術による機能性材料、ケミカルフィルタの開発、製造および販売 | — |
日本無機株式会社
フィルタ・クリーン機器の製造と販売を行う、ダイキン工業を株主とする会社です。ケミカルフィルタは酸性ガス・アルカリ性ガス・有機ガスの除去用に、活性炭タイプを(酸性ガス・アルカリ性ガス用はイオン交換タイプも)用意し、ミニプリーツ形・セパレータ形・薄形など形状違いで公開しています。
この会社の特徴
- ろ材ごとに除去対象ガスを表で公表——ピュアケミックスGのろ材表で、炭酸カリウムを添着した粒状活性炭の代表ガス例を「硫黄酸化物(SOx)、塩酸、フッ酸、ボロン」、リン酸添着を「アンモニア、アミン類」、添着なしの有機ガス用を「フタル酸エステル類(DOP、DBP)、シロキサン、オゾン、リン酸エステル類(TBP)、トルエン」と記載しています(2026年9月24日確認)。
- 長寿命形と薄形で奥行を選べる——長寿命形ケミカルフィルタシリーズは「当社従来品に対して「約2倍の寿命」を実現」とし、610×610mmで奥行50〜75mm・定格風量7〜10m³/min・ガス除去効率90%と公表しています。薄形は奥行25mmで、「3種類(酸性ガス、アルカリガス、有機ガス除去)のフィルタを積層して75mmの厚さで設置可能」と記載しています。
- ケミカルフィルタの残寿命調査を行う——環境診断・フィルタ調査のメニューに「ケミカル分析」(空気中の有機成分濃度、金属成分濃度、イオン成分濃度の測定)と「ケミカルフィルタ残寿命調査」を掲載しています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 東京都台東区東上野5-1-5 日新上野ビル4F |
|---|---|
| 主な製品・型式 | ピュアケミックスG/イオケミックス/薄形ケミカルフィルタ/長寿命形ケミカルフィルタシリーズ/ピュアスメルフィルタほか |
| 事業内容 | フィルタ・クリーン機器及びその応用製品の製造及び販売 |
| 公表仕様・実績 | 「ケミカル」の製品検索で20件を公開。ろ材ごとの除去対象ガスと、長寿命形・薄形の標準仕様(寸法・風量・圧力損失・ガス除去効率)を掲載 |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:酸・アルカリ・有機の3系統を同じメーカーでそろえ、残寿命の調査まで任せたい半導体・液晶工場
ケミカルフィルターで確認したいこと:価格は公表されていません。ガス除去効率は「使用風速、除去対象ガスの種類、温湿度など、ご使用環境によって変わります」と注記されているため、実際の濃度条件で確認してください(2026年9月24日確認)。
ニッタ株式会社
ニッタ株式会社のクリーンエンジニアリング事業部が、ケミカルフィルタを手がけています。対象ガスに合わせて吸着剤を選び、フィルタシステムをフルオーダーで設計する形で、プリーツ型・配管用・チューブ型・簡易型を公開し、価格帯を税別で掲載しています。
この会社の特徴
- 製品ごとの価格帯を税別で公表——プリーツ型ケミカルフィルタGIGAWAVEは3万円~50万円(税別)、配管ケミカルフィルタENILSORBは5万円~80万円(税別)と掲載し、「カスタム内容により変動いたします。詳細な価格はお問い合わせください」と添えています(2026年9月24日確認)。
- プリーツ型はろ材5種から選ぶ——GIGAWAVEは、活性炭(HL・有機物質除去用)、イオン交換樹脂(HS・酸性物質除去/HR・アルカリ性物質除去)、添着活性炭(HC・酸性物質除去/HA・アルカリ性物質除去)の5種で、「機器装置やクリーンルーム中に存在する微量のガス状汚染物質の除去」に使うとしています。
- 分析から寿命の推定まで行う——導入の流れを環境調査→システム概要計画→選定→設計→効果確認とし、効果確認で「「ケミカルフィルタ」を分析し、効果確認、性能評価、寿命やフィルタ交換の周期を推定します」と記載しています。対象物質の一覧にはボロン、アンモニア、シロキサン、NOx、SOxなどを挙げています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 大阪府大阪市浪速区桜川4-4-26 |
|---|---|
| 主な製品・型式 | プリーツ型GIGAWAVE/配管ケミカルフィルタENILSORB/チューブ型Tubescleaner/簡易型静的化学吸着剤SENAMO |
| 事業内容 | クリーンエンジニアリング事業部。ケミカルフィルタの開発・設計・製造・分析を奈良工場で実施 |
| 公表仕様・実績 | 「実績は50年で1万件以上」と公表。半導体製造装置メーカー、電子部品製造メーカーなどの事例を掲載 |
| 価格の公表 | GIGAWAVE(プリーツ型)3万円~50万円(税別)/ENILSORB(配管)5万円~80万円(税別)/SENAMO(簡易型)5千円~2万円(税別)。いずれも「カスタム内容により変動いたします」との注記つきの価格帯(2026年9月24日確認) |
こんな人に向いています:予算取りの段階で価格帯を押さえたい、または装置の給気・圧縮空気の配管までまとめてガス対策をしたい企業
ケミカルフィルターで確認したいこと:価格は価格帯のみで、カスタム内容により変動します。使用可能期間は「除去対象とする汚染物質の量と種類、フィルタの使用条件により異なります」とされているため、分析結果をもとに交換周期の見積もりを受けてください。
ケンブリッジフィルターコーポレーション株式会社
エア・フィルタとその関連機器を製造・販売する会社です。1953年に近藤工業株式会社として発足し、2022年1月に日本ケンブリッジフィルター株式会社を吸収合併して現社名になりました。ケミカルフィルタ「ケミアレスト」を、付ける場所ごとの4製品で公開しています。
この会社の特徴
- 付ける場所ごとに製品が分かれている——使用例の図で、外気を取り入れる空調機に「ケミアレスト CB-Tタイプ」、クリーンルームの循環系統に「CBSタイプ」、クリーンブースのファンフィルタユニットに「CBMタイプ」を配置しています。トレータイプは「外気処理に限らず排気系統にも使用可能です」と記載しています(2026年9月24日確認)。
- FFU搭載用は奥行50mm・圧力損失20Pa以下——CBMは酸系・アルカリ系・有機系それぞれで、610×610mmが定格流量10m³/min、圧力損失≦20Pa、奥行50mmと仕様表で公表しています。ろ材は「不織布+粒状活性炭又はイオン交換樹脂」で、「イオン交換タイプは活性炭タイプより長寿命です。」と記載しています。イオン交換タイプの仕様表はアルカリ系(CBM-BR・CBMD-BR)のみです。
- トレータイプはカートリッジ交換式——CB-Tは「カートリッジ交換式のケミカルフィルタです。除去対象によって吸着剤を選択していただけます。」とし、本体外形610×610×660mmの型式で充填容量115Lと公表しています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 東京都港区芝3-14-2 芝ケンブリッジビル |
|---|---|
| 主な製品・型式 | ケミアレスト(ファンフィルタユニット搭載用CBM/循環空調用CBS/トレータイプCB-T/トレータイプダクト接続型) |
| 事業内容 | エア・フィルタ及びその関連機器の製造・販売、測定・管理・保守・定期検査 |
| 公表仕様・実績 | 外気処理・循環系統・FFUそれぞれに置くケミカルフィルタを使用例の図で公開 |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:外調機・循環系・FFUのどこに付けるかを先に決め、場所ごとに型式を選びたい企業
ケミカルフィルターで確認したいこと:価格は公表されていません。ガスの分析や残寿命の調査は公式サイトに記載がないため、交換時期の判断方法を個別に確認してください。トレータイプは「標準寸法以外は対応しておりません」と注記されています(2026年9月24日確認)。
ピュアテック株式会社
各種ガス吸着剤とエアフィルタの設計・製造・販売を行う会社で、株式会社ミラプロホールディングスが株主です。1980年に日本化学工業の薬品本部開発グループがガス吸着剤「ピュアライト」の販売を始め、1994年に同社の全額出資で日本ピュアテック株式会社として設立されました(2021年に現社名へ変更)。ケミカルフィルターをペレット・プリーツ・ハニカム・不織布など形状違いで10製品公開しています。
この会社の特徴
- 形状の選択肢が多い——ピュアライト(外気処理用ペレットタイプ)、ピュアゲート(プリーツタイプ・中性能兼用可能)、ピュアアクト(ハニカムタイプ)、ピュアモールド(低発塵ペレットタイプ)、クリーンソーブⅡ(活性炭素繊維タイプ)などを公開しています(2026年9月24日確認)。
- ハニカム型はボロンを除去対象に明記——ピュアアクトは「粉末活性炭を基材としたシートをハニカム構造にしたケミカルフィルター」で、PureACT-Hの主な除去対象ガスを「塩酸、硝酸、SO2等の酸性ガス、オゾン、ボロン」と記載しています。ピュアゲートは「3層までシートを積層できるので、1枚のフィルターで複数のガスに対応できます」としています。
- 超微量ガスの分析とメンテナンスを掲載——「半導体クリーンルームなどにおける環境中の超微量ガスの分析を行っています。」と記載し、導入から数年経過した設備の定期的なメンテナンスの相談にも応じるとしています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 愛知県名古屋市中区栄3丁目6番1号 栄三丁目ビルディング 10階 |
|---|---|
| 主な製品・型式 | ピュアライト(ペレット)/ピュアゲート(プリーツ)/ピュアアクト(ハニカム)/クリーンソーブⅡ(活性炭素繊維)ほか10製品 |
| 事業内容 | 各種ガス吸着剤及びエアフィルタの設計・製造・販売、環境測定及び各種化学分析 |
| 公表仕様・実績 | ケミカルフィルター10製品と、FFU・ミニエンバイロメント・ケミカルチャンバーなどの対応機器を公開 |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:FFU・装置・外気処理など設置場所に合わせて形状から選びたい、またはガスの分析から相談したい企業
ケミカルフィルターで確認したいこと:価格は公表されていません。圧力損失は製品PDFにグラフで掲載されていますが、使用条件は裏表紙記載の「お願い」を参照するよう注記されているため、実際の風速とガス濃度で性能を確認してください。
株式会社イー・シー・イー
放射線グラフト重合技術を基盤に機能性材料とケミカルフィルタを開発・製造・販売する、荏原製作所の子会社です。イオン交換による化学吸着(中和)で汚染性ガスを除去する「EPIXフィルタ」と、活性炭シートを組み合わせた複合フィルタ・有機ガスフィルタを公開しています。
この会社の特徴
- イオン交換の化学吸着で除去する——EPIXフィルタを「既存のフィルタでは除去できなかったアンモニアや酸性物質などの汚染性ガスを、イオン交換による化学吸着(中和)反応を使って除去する」と説明し、「吸着したガスの再放出もありません」と記載しています(2026年9月24日確認)。
- 活性炭シートと重ねた複合フィルタ——有機ガスを除去できる活性炭シートをEPIX膜と重ね折りした複合(ハイブリッド)フィルタと、活性炭シートをフィルタ加工した有機物フィルタをそろえています。
- 寸法とろ材を条件に合わせて選定——フィルタ仕様を「横寸法(W)、縦寸法(H)及び奥行き寸法(D)は自由に選定できます」、EPIX膜は「除去対象物質の種類と濃度およびフィルタ設置条件により弊社で選定いたします」とし、「使用材料は半導体工場クリーンルーム適用仕様で統一されております」と記載しています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 千葉県袖ヶ浦市中袖30-1 |
|---|---|
| 主な製品・型式 | EPIXフィルタ(イオン交換タイプ)/有機ガスフィルタ(活性炭タイプ)/複合フィルタ(イオン交換+活性炭) |
| 事業内容 | 放射線グラフト重合技術による機能性材料、ケミカルフィルタの開発、製造および販売 |
| 公表仕様・実績 | 半導体製造用ケミカルフィルタ及び関連製品の製造販売を2005年11月から業務分野に加え、荏原製作所の子会社に |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:アンモニアなど塩基性ガスや酸性ガスが課題で、既存の枠寸法に合わせたイオン交換タイプを検討したい半導体関連の企業
ケミカルフィルターで確認したいこと:価格と標準寸法は公表されていません。ガスの分析や残寿命の調査は公式サイトに記載がありません。製品情報ページでファンフィルタユニットは「現在取り扱っておりません」とされています(2026年9月24日確認)。
ケミカルフィルターのページのPR枠(1社限定)は現在募集中です。掲載をご検討の企業様は広告掲載についてをご覧ください。
ケミカルフィルターの公表仕様と除去対象
当サイトが確認したページに、この製品・サービスに関する記載があった会社だけを挙げています。表現は各社の公式サイトの記載に沿っています。
| 会社名 | 公式サイトで確認できた記載(2026年9月24日確認) |
|---|---|
| 日本無機株式会社 | 「ケミカル」の製品検索で20件を公開(ピュアケミックスG・イオケミックス・薄形ケミカルフィルタ・長寿命形ケミカルフィルタシリーズ・ピュアスメルフィルタほか)。ろ材表で酸性ガスの代表ガス例を「硫黄酸化物(SOx)、塩酸、フッ酸、ボロン」と記載。長寿命形は「当社従来品に対して「約2倍の寿命」を実現」とし、610×610mm・定格風量10m³/minの型式でガス除去効率90%(使用環境によって変わる旨の注記つき)。環境診断のメニューに「ケミカルフィルタ残寿命調査」を掲載。 |
| ニッタ株式会社 | プリーツ型GIGAWAVEをろ材別の5種(活性炭=有機物質除去用、イオン交換樹脂・添着活性炭=酸性物質除去/アルカリ性物質除去)で公開し、価格帯を「3万円~50万円(税別)」「カスタム内容により変動いたします」と表示。対象物質にボロン・アンモニア・シロキサン・NOx・SOxなどを列挙。導入の流れで「効果確認、性能評価、寿命やフィルタ交換の周期を推定します」と記載。 |
| ケンブリッジフィルターコーポレーション株式会社 | ケミアレストをファンフィルタユニット搭載用(CBM)・循環空調用(CBS)・トレータイプ(CB-T)・トレータイプダクト接続型の4製品で公開。使用例の図で外気処理側にCB-T、循環系統にCBS、FFUにCBMを配置。CBMは610×610mmで定格流量10m³/min・圧力損失≦20Pa・奥行50mm、CBSは610×610mmで定格流量56m³/min・圧力損失≦200Pa・奥行292mm。「イオン交換タイプは活性炭タイプより長寿命です。」 |
| ピュアテック株式会社 | ケミカルフィルター10製品を公開(ピュアライト=外気処理用ペレット、ピュアゲート=プリーツ、ピュアアクト=ハニカム、クリーンソーブⅡ=活性炭素繊維など)。ピュアアクトの主な除去対象ガスをPureACT-K=有機ガス、PureACT-H=「塩酸、硝酸、SO2等の酸性ガス、オゾン、ボロン」、PureACT-N=アルカリ性ガス・NMPと記載。「半導体クリーンルームなどにおける環境中の超微量ガスの分析を行っています。」 |
| 株式会社イー・シー・イー | EPIXフィルタを「イオン交換による化学吸着(中和)反応を使って除去する」「吸着したガスの再放出もありません」と説明。活性炭シートをEPIX膜と重ね折りした複合(ハイブリッド)フィルタと有機物フィルタも公開。寸法はW・H・Dを「自由に選定できます」、EPIX膜は「除去対象物質の種類と濃度およびフィルタ設置条件により弊社で選定」と記載。 |
上表は2026年9月24日に各社の公式サイト(製品ページ・仕様表・製品PDF・会社概要)を1社ずつ確認した時点の記載です。比較表の「なし」「記載なし」は公式サイトで確認できないという意味で、掲載していない会社が対応していないという意味ではありません。価格を公表しているのはニッタの1社で、残る4社は個別見積です。
ケミカルフィルターのメーカーを比べる5つの軸
ケミカルフィルターは、どのメーカーの製品も「吸着剤でガスを取る」という点は同じです。差が出るのは、除去対象ガス・ろ材・形状・寿命の管理・価格の公表という5点で、この5つを並べると各社の得意な領域が見えてきます。
| 会社 | 除去対象(公表例) | ろ材 | 形状 | 寿命の管理 | 価格の公表 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本無機 | 酸性(ボロンを含む)・アルカリ性・有機・アルデヒド | 粒状活性炭(添着あり・なし)、イオン交換樹脂 | ミニプリーツ形・セパレータ形・薄形・エレメント交換形 | ケミカル分析、ケミカルフィルタ残寿命調査 | なし |
| ニッタ | 酸性・アルカリ性・有機、ボロン・NOx・SOxなど | 活性炭、イオン交換樹脂、添着活性炭 | プリーツ型・配管用・チューブ型・簡易型 | 分析で効果確認、交換周期を推定 | 価格帯を公表(税別) |
| ケンブリッジフィルター | 酸系・アルカリ系・有機系 | 不織布+粒状活性炭またはイオン交換樹脂 | FFU搭載用・循環空調用・トレー(カートリッジ交換式) | 公式サイトに記載なし | なし |
| ピュアテック | 有機・酸性(ボロンを含む)・アルカリ性・アルデヒド類 | 活性炭系、イオン交換樹脂、活性炭素繊維、粉末活性炭シート | ペレット・プリーツ・ハニカム・不織布ほか10製品 | 超微量ガスの分析、メンテナンス | なし |
| イー・シー・イー | アンモニア・酸性物質、有機ガス(活性炭) | イオン交換(EPIX膜)、活性炭シート | 寸法を自由に選定、複合(重ね折り) | 公式サイトに記載なし | なし |
5つの軸のうち、最初に決まるのは除去対象ガスです。酸を取るのかアルカリを取るのか有機物を取るのかでろ材が変わり、ろ材が決まると選べる形状と寿命が絞られます。対象ガスが分からないまま見積もりを取ると、各社が違うろ材を前提にするため比べられません。
掲載順は設立の古い順で、評価の順位ではありません。順序の基準と掲載の考え方は掲載・選定基準に記載しています。クリーンルーム本体の設計施工会社はクリーンルームの施工会社比較で扱っています。
ケミカルフィルターの価格の公表状況
掲載5社のうち、ケミカルフィルターの価格を公表しているのはニッタの1社だけです(2026年9月24日確認)。製品ごとの価格帯が税別で掲載されており、残る4社は除去対象や寸法が決まってからの個別見積になります。
| 製品 | 形状・用途 | 価格帯(税別) |
|---|---|---|
| GIGAWAVE | プリーツ型。クリーンルーム・機器装置・外気処理 | 3万円~50万円 |
| ENILSORB | 配管ケミカルフィルタ。圧縮空気の配管・半導体装置 | 5万円~80万円 |
| SENAMO | 簡易型静的化学吸着剤。搬送用容器などに入れる | 5千円~2万円 |
価格帯の幅が広いのは、ケミカルフィルターが条件に合わせて作る製品だからです。ニッタは「対象ガスに対して適した吸着剤を選定し、フルオーダーでフィルタシステムを設計します」としています。日本無機も長寿命形の寸法を「その都度対応いたします」、イー・シー・イーもW・H・Dを「自由に選定できます」としており、標準品の定価で比べる製品ではありません。
| 見落としやすい費目 | 中身 | 公表例 |
|---|---|---|
| 交換品(吸着剤・カートリッジ) | 吸着剤は使うほど飽和するため、交換が続く | ニッタ「中身となる吸着剤の交換だけでOK」/ケンブリッジ CB-Tは「カートリッジ交換式」 |
| ケーシング・枠 | トレーや充填槽を入れる箱。初回だけの費用になりやすい | ケンブリッジ CB-Tは本体外形610×610×660mm・充填容量115L/ピュアテックは充填槽を対応機器に掲載 |
| 分析・残寿命の調査 | 交換時期を決めるための測定 | 日本無機「ケミカルフィルタ残寿命調査」/ニッタ「寿命やフィルタ交換の周期を推定」 |
| 送風の負担 | 圧力損失が大きいほど空調機やFFUのファンの負担が増える | ケンブリッジ CBMは≦20Pa、CBSは≦200Pa |
ケミカルフィルターは買ったあとに交換品の費用が続く設備です。本体の見積もりと一緒に、交換品1回分の価格と想定する交換周期を出してもらうと、年間の費用で比べられます。クリーンルーム全体の費用感はクリーンルームの費用に整理しています。
ケミカルフィルターの設置場所の選び方
クリーンルームでケミカルフィルターを付ける場所は、外調機(外気の取り入れ口)・循環系・FFU・製造装置の4つが基本です。場所によって、取るガスの出どころと、使える形状が変わります。
ケンブリッジフィルターは使用例の図で、外気側にトレータイプ(CB-T)、循環系統にCBS、FFUにCBMを置く構成を示しています。
| 設置場所 | 取るガスの出どころ | 公表している製品の例 |
|---|---|---|
| 外調機(外気処理) | 外気から入ってくるガス | ケンブリッジ CB-T/ピュアテック ピュアライト(外気処理用ペレット)/ニッタ GIGAWAVE(外気処理でも効果を発揮と記載) |
| 循環系 | 室内の材料や工程から出るガス | ケンブリッジ CBS(クリーンルームの循環系統向け)/ニッタ GIGAWAVE(空調循環系への設置事例) |
| FFU | 特定の区画やクリーンブースに吹き出す空気 | ケンブリッジ CBM(FFU搭載用)/ピュアテック ピュアゲート・ピュアアクト(FFU用と表示) |
| 製造装置・配管 | 装置内部や圧縮空気に含まれるガス | ニッタ ENILSORB(半導体製造装置の給気・循環・排気系統の事例)/ピュアテック(装置用と表示) |
FFUに載せる場合は、既存のHEPA・ULPAフィルターと重ねて付けることになります。ケンブリッジの図でもCBMとHEPAフィルタを組み合わせています。FFUのファンが追加の圧力損失に耐えられるかを先に確認してください。FFUの仕組みと選び方はFFU(ファンフィルターユニット)、空調の方式はクリーンルームの空調の仕組みで扱っています。
| 製品・型式 | 奥行 | 定格風量 | 圧力損失 |
|---|---|---|---|
| 日本無機 薄形(NECS・NACG) | 25mm | 7m³/min(0.35m/s) | 約10〜15Pa |
| ケンブリッジ CBM(FFU搭載用) | 50mm | 10m³/min(610×610) | ≦20Pa |
| 日本無機 長寿命形(有機除去用) | 50〜75mm | 7〜10m³/min | 30〜80Pa |
| ケンブリッジ CBS(循環空調用) | 292mm | 56m³/min(610×610) | ≦200Pa |
日本無機の長寿命形は、同じ有機除去用で奥行50mmが30Pa、75mmが80Paと公表されています。奥行が増えると圧力損失も増えます。薄いものほど天井やFFUに収めやすく、奥行のあるものは吸着剤を多く入れられる一方で、置き場所とファンの能力を選びます。
ケミカルフィルターのろ材と除去対象ガス
ケミカルフィルターのろ材は、何も添着しない活性炭、薬剤を添着した活性炭、イオン交換樹脂・イオン交換膜の3系統に分かれます。各社の公表内容では、有機ガスは活性炭、酸性・アルカリ性のガスは添着活性炭かイオン交換で取る組み合わせが共通しています。
| ろ材 | 主な除去対象(公表例) | 公表している会社・製品 |
|---|---|---|
| 活性炭(添着なし) | フタル酸エステル類、シロキサン、トルエンなどの有機ガス | 日本無機(ろ材O)/ニッタ GIGAWAVE HL/ピュアテック ピュアゲート JK・YK(活性炭系)/ピュアアクト K(粉末活性炭)※ピュアテックは添着の有無を記載していません |
| 添着活性炭 | 酸性ガス(SOx・塩酸・フッ酸・ボロン)、アルカリ性ガス(アンモニア・アミン類) | 日本無機(炭酸カリウム添着=酸性、リン酸添着=アルカリ性)/ニッタ GIGAWAVE HC・HA |
| イオン交換樹脂 | 酸性ガス、アルカリ性ガス | 日本無機 イオケミックス/ニッタ GIGAWAVE HS・HR/ピュアテック ピュアゲート EH・EN/ケンブリッジ CBM・CBS(イオン交換タイプはアルカリ系のみ公表) |
| イオン交換膜(放射線グラフト重合) | アンモニアや酸性物質 | イー・シー・イー EPIXフィルタ |
イオン交換タイプの寿命について、ケンブリッジは「イオン交換タイプは活性炭タイプより長寿命です。」と記載しています。イー・シー・イーはイオン交換による化学吸着(中和)で「吸着したガスの再放出もありません」としています。酸・アルカリが主な課題なら、イオン交換タイプを候補に入れて見積もりを比べるのが近道です。
ボロンを除去対象として公式サイトに挙げているのは、確認できた範囲で3社です(2026年9月24日確認)。日本無機は酸性ガスの代表ガス例に、ピュアテックはPureACT-Hの除去対象に、ニッタは対象物質の一覧にボロンを載せています。ボロンやリンのように製品の特性に直接関わる成分が課題の場合は、これらの会社に対象成分と目標濃度を示して相談してください。
| 会社 | 分析・寿命管理の公表内容 |
|---|---|
| 日本無機 | ケミカル分析(空気中の有機成分濃度、金属成分濃度、イオン成分濃度の測定)、ケミカルフィルタ残寿命調査 |
| ニッタ | 環境調査で原因物質を特定、導入後に分析で効果確認・性能評価・交換周期を推定。捕集効率や捕集成分の報告も可能と回答 |
| ケンブリッジフィルター | 公式サイトに記載なし(事業内容として測定・管理・保守・定期検査を掲載) |
| ピュアテック | 半導体クリーンルームなどの環境中の超微量ガスの分析、定期的なメンテナンスの相談 |
| イー・シー・イー | 公式サイトに記載なし(主要設備にフィルタ性能評価装置、ガスクロマトグラフ質量分析計を掲載) |
半導体のクリーンルームで清浄度以外に管理する条件(温湿度・静電気・微振動・分子状汚染)は半導体クリーンルームの基礎、工場全体の設計要件は半導体工場のクリーンルームにまとめています。
ケミカルフィルターの発注前に決める項目
メーカーへ問い合わせる前に決めておくと、同じ条件で複数社の見積もりを並べられます。ケミカルフィルターは対象ガスと濃度で中身が変わる製品なので、条件が曖昧なままでは各社が違う前提で見積もります。次の6項目を先に埋めてください。
清浄度の指標も分けて考えてください。クリーンルームの清浄度クラスを定めるJIS B 9920-1:2019(日本規格協会)は、表題のとおり「浮遊粒子数濃度による空気清浄度の分類」です(2026年9月24日確認)。ケミカルフィルターが対象とするガス状の汚染物質は、この粒子数の分類では評価できません。除去の効果は、対象ガスの濃度を測って確認する前提で仕様を決めます。粒子の清浄度クラスの考え方はクリーンルームのクラスで扱っています。
| 決めること | 具体的に伝える内容 | 決まらないと起きること |
|---|---|---|
| 除去したいガスと目標濃度 | 酸・アルカリ・有機のどれか。ボロンなど特定成分。処理後に目指す濃度 | ろ材が決まらず、見積もりの前提が各社でばらばらになる |
| 現状のガス濃度 | 外気と室内の測定値。なければ分析から依頼する | 寿命が計算できず、交換周期と年間費用が出ない |
| 設置場所 | 外調機・循環系・FFU・装置のどこか。既存の枠寸法 | 形状と奥行が決まらない |
| 風量と許容できる圧力損失 | 処理風量。空調機やFFUのファンの余裕 | 付けたあとに風量が落ち、清浄度や室圧に響く |
| 寿命の管理方法 | 残寿命調査や分析をメーカーに頼むか、自社で測るか | 交換が早すぎて費用が増えるか、遅れて破過する |
| 交換作業の分担 | 吸着剤・カートリッジの交換を誰が行うか。使用済みの処分 | 交換のたびに手配が遅れ、ラインの停止が長くなる |
交換時期の目安は、どの社も年数では公表していません。ニッタは使用可能期間について「除去対象とする汚染物質の量と種類、フィルタの使用条件により異なります」と回答しています。寿命は条件で決まるため、分析と残寿命の調査をどこまでメーカーに頼めるかが、長く使ううえでの差になります。
| 質問 | 回答で見るところ |
|---|---|
| 対象ガスの分析から頼めますか | 原因物質が分からない段階から相談できるか。日本無機・ニッタ・ピュアテックは分析を公表している |
| このろ材だと交換周期はどれくらいですか | 濃度条件を示したうえでの推定か、一般論か |
| 交換品1回分の価格はいくらですか | 本体価格とは別に、年間の費用を計算できる |
| 既存の枠やFFUにそのまま入りますか | 寸法を合わせて作れるか。ケンブリッジのトレータイプは標準寸法のみと注記している |
| 圧力損失は何Paになりますか | ファンの能力で足りるか、空調側の改修が要るか |
ケミカルフィルターは単体で買う部材に見えますが、空調の風量・室圧・清浄度とつながる設備です。後から追加する場合は、フィルターのメーカーと空調の施工会社の両方に圧力損失の影響を確認してください。クリーンルーム本体を計画中ならクリーンルームの施工会社比較をご覧ください。
規格・制度の数値は必ず原文で確認してください
クリーンルームに関わる規格(ISO14644・JIS B 9920)や、GMP・HACCP・再生医療関連の制度は改正されます。当サイトの記載は制度の全体像と確認すべき論点を示すことを目的としており、設計・契約・規制対応の根拠にはできません。必ず規格原文および所管官庁の最新の告示・通知をご確認ください。規格の全体像はクリーンルームの規格にまとめています。
ケミカルフィルターのメーカーに関するよくある質問
ケミカルフィルターのメーカー選びで多い質問として、価格の公表状況、HEPAフィルターとの違い、交換時期の決め方、ボロンを除去できるかを、掲載5社の公式サイトの記載をもとに答えます。
ケミカルフィルターの価格はいくらですか?
掲載5社のうち価格を公表しているのはニッタの1社です。プリーツ型のGIGAWAVEが3万円~50万円(税別)、配管用のENILSORBが5万円~80万円(税別)、簡易型のSENAMOが5千円~2万円(税別)の価格帯で、いずれも「カスタム内容により変動いたします」と注記されています(2026年9月24日確認)。本体のほかに交換品の費用が続くため、交換周期とあわせて見積もりを取ってください。
ケミカルフィルターとHEPAフィルターは何が違いますか?
取るものが違います。HEPAフィルターは空気中の粒子を捕集し、ケミカルフィルターはガスの状態の化学物質を吸着剤で取り除きます。両方を組み合わせて使うことが多く、ケンブリッジフィルターは使用例の図でFFUにケミカルフィルタ(CBM)とHEPAフィルタを組み合わせています。
ケミカルフィルターの交換時期はどう決めますか?
年数の目安を公表している会社はありません。ニッタは使用可能期間を「除去対象とする汚染物質の量と種類、フィルタの使用条件により異なります」とし、導入後の分析で交換周期を推定するとしています。日本無機は環境診断のメニューに「ケミカルフィルタ残寿命調査」を掲載しています。ガス濃度の測定結果をもとに交換時期を決めてください。
ケミカルフィルターでボロンは除去できますか?
公式サイトでボロンを除去対象に挙げている会社があります。日本無機は炭酸カリウムを添着した活性炭とイオン交換樹脂の酸性ガス用の代表ガス例に、ピュアテックはハニカム型PureACT-Hの除去対象に、ニッタは対象物質の一覧にボロンを載せています(2026年9月24日確認)。目標濃度と現状の濃度を示して、ろ材の選定を相談してください。
