パスボックスとは、クリーンルームの内外で物品を受け渡すために、両側に扉が付いた箱型のクリーン機器です。人の出入りを減らして汚染の持ち込みを抑える目的で使います。掲載5社のうち本体価格を公表しているのは1社で、内寸400mmの標準型が289,000円(税別・本体のみ、運送と設置工事は別途)です(2026年9月24日確認)。
金額より先に決まるのは3点です。扉のインターロックを機械式にするか電磁ロックにするか。庫内を素通しにするか、HEPAフィルターで循環させるか、エアシャワーを付けるか。寸法を標準サイズから選ぶか、型式の記号で指定するか。5社はこの3点で分かれます。
このページはメーカーの選び分けに絞りました。搬入の手順そのものはクリーンルームの入室手順、人が通るエアシャワーはエアシャワーとはで扱っています。
目次
パスボックスを製品として公開している5社
この製品・サービスの取り扱いを公式サイトで確認できたパスボックスメーカー5社です。掲載順は順位ではありません(設立の古い順)。用途ごとの記載根拠はこの下の表にまとめています。選定の考え方は掲載・選定基準をご覧ください。
| 会社名 | 本社・拠点 | 主な製品・型式 | 事業内容 | 価格の公表 |
|---|---|---|---|---|
| 日本無機株式会社 | 東京都台東区 | 一般型/エアシャワー付(型式PPB) | フィルタ・クリーン機器の製造及び販売 | — |
| 日本エアーテック株式会社 | 東京都台東区/国内営業所・工場 | 普及型EPB/標準型APB/高級型HPB/バイオハザード対策型BHPB | クリーンエアシステムの設計製造・販売 | — |
| 株式会社ニットー冷熱製作所 | 埼玉県飯能市/名古屋・福岡に営業所 | 標準型/フラット型/エアシャワー付/循環エア付 | 設計・板金加工・塗装・組立の一貫生産 | — |
| 株式会社ホクト総研 | 東京都北区/千葉県松戸市に事業所 | 標準型PBN-400〜PBN-800(インターロック機能付) | 建築設計施工と一般・特殊空調設備の設計施工 | ◯ |
| 株式会社日立産機システム | 東京都千代田区 | 標準型/特殊型(清浄空気循環型・エアカーテン付・多連結型) | 産業電機の製造、販売、保守・サービス | — |
日本無機株式会社
フィルタとクリーン機器を製造・販売する会社です。パスボックスは「一般型」と「エアシャワー付」の2系統を型式PPBとして公開し、寸法・扉・インターロック・通路部の仕様を型式の記号で組み合わせる形をとっています。
この会社の特徴
- エアシャワー付はフィルタと風速を仕様表で公表——標準仕様表で、エアシャワー付はメインフィルタがHEPAフィルタ(0.3µm粒子 99.99%以上)、風速23/26m/s、電源AC200V 3φ 50/60Hz、消費電力0.4kW、電源コード5mプラグ付と記載しています(2026年9月24日確認)。
- インターロックを機械式・電気式・なしから選べる——型式の記号表でインターロックを「K:機械式」「E:電気式」「L:なし」に区分し、扉も「1:鋼板ドア」「2:アルミ」「3:自動ドア」「4:特殊」「0:扉無し」から選ぶ形です。
- 通路部の床をローラーコンベアにもできる——通路部仕様の記号に床SUS・床パンチング・床ローラーコンベア・床無しの組み合わせを用意し、注文時の指示でドア開放表示灯(赤色)・インターホン・脚付架台付・殺菌灯付・自動ドア付にも応じるとしています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 東京都台東区東上野5-1-5 日新上野ビル4F |
|---|---|
| 主な製品・型式 | 一般型/エアシャワー付(型式PPB) |
| 事業内容 | フィルタ・クリーン機器の製造及び販売 |
| 公表仕様・実績 | エアシャワー付はHEPAフィルタ0.3µm粒子99.99%以上・風速23/26m/sを仕様表で公開 |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:エアシャワーで受け渡し物品の除塵まで行いたい、または寸法や通路部の仕様を型式で細かく指定したい企業
パスボックスで確認したいこと:価格は公表されていません。エアシャワー付は三相200Vの電源と0.4kWの容量が要るため、設置場所の電源工事の有無を見積もり時に確認してください。
日本エアーテック株式会社
クリーンエアシステムの専門メーカーとして、クリーンルーム、クリーンベンチ、バイオハザードシステム等を設計製造・販売する会社です。パスボックスは普及型・標準型・高級型・バイオハザード対策型の4機種に加え、搬送ライン向けのクリーンオートパスボックス(シャワー型)とエアーナイフ型パスボックスを製品ページで公開しています。
この会社の特徴
- 電源不要の機械式から電磁ロックまで選べる——普及型(EPB)は「両扉のインターロックは、機械式のため、電源が不要で防爆エリア内の設置にも対応できます」と記載し、標準型(APB)はインターロック方式を電磁ロックとしています(2026年9月24日確認)。
- HEPAフィルター内蔵とBSL-3対応の機種がある——高級型(HPB)は「HEPAフィルターにより清浄化された空気を循環させることで、パスボックス内を高清浄に維持します」、バイオハザード対策型(BHPB)は「バイオハザード対策室(BSL-3など)に対応したパスボックスです。高気密構造でルーム内外の隔離ができます」と記載しています。
- 扉をフラットにしてごみ溜まりを防ぐ構造——標準型(APB)は「本体と扉はフラットな構造で、ごみ溜まりを防止しています」、高級型はオプションで殺菌灯の取り付けも行えるとしています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 東京都台東区入谷一丁目14番9号 |
|---|---|
| 主な製品・型式 | 普及型EPB/標準型APB/高級型HPB/バイオハザード対策型BHPB |
| 事業内容 | クリーンエアシステムの設計製造・販売 |
| 公表仕様・実績 | 機種ごとにインターロック方式・フィルタ・対応する設置環境を製品ページで公開 |
| 価格の公表 | パスボックスの価格は記載なし(公式オンラインショップの取扱いはフィルターユニット・消耗品など) |
こんな人に向いています:防爆エリアやバイオハザード対策室など、設置場所の条件に合わせて機種を選びたい企業
パスボックスで確認したいこと:価格は公表されていません。型式の記号(06-555R・666R・777Rなど)と内寸の対応は、各機種の製品ページの寸法図で確認してください。
株式会社ニットー冷熱製作所
空気清浄装置の生産・販売・メンテナンスと、冷熱機器・温湿度管理ユニットの製造を行う会社です。パスボックスは標準型・フラット型・エアシャワー付・循環エア付の4タイプを公開しています。
この会社の特徴
- 扉の出っ張りをなくしたフラット型がある——フラット型パスボックスを「従来のパスボックス本体から前面に出っ張っていたとびらを本体に埋め込む事で、埃だまりの問題を解消したパスボックス」と説明しています(2026年9月24日確認)。
- エアシャワー付と循環エア付を用意——エアシャワー付は「4個のジェットノズルを持つエアシャワーを付加」、循環エア付は「パスボックス内の空気を常に循環させることによって庫内の汚染を防止」すると記載しています。
- 設計から組立まで自社工場で一貫生産——工場のページで「設計 - 板金加工 - 塗装 - 組立・完成まで一貫生産しています。」と記載し、クリーン製品で製造リードタイム1週間(板金加工 - 塗装 - 組立完成)の事例があるとしています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 埼玉県飯能市双柳1264番地 |
|---|---|
| 主な製品・型式 | 標準型/フラット型/エアシャワー付/循環エア付 |
| 事業内容 | 設計・板金加工・塗装・組立の一貫生産 |
| 公表仕様・実績 | 自社工場のクリーン製品で製造リードタイム1週間の事例を公表 |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:扉まわりの埃だまりを減らしたい、または寸法を合わせた製品を短い納期で相談したい企業
パスボックスで確認したいこと:価格は公表されていません。寸法は標準型(NPB-444〜NPB-888)とフラット型(NPB-F444〜NPB-F777)の内寸・外寸・質量を製品ページに掲載し、DXF・PDFの図面もダウンロードできます。オプション(殺菌灯、インターホン、ブザー、表示灯、本体補強用の脚、架台等)の要否を見積もり時に指定してください。
株式会社ホクト総研
クリーンブースを主力に、建築設計施工と一般・特殊空調設備の設計施工を事業に掲げる会社です。インターロック機能付きの標準パスボックスを内寸400〜800mmの4サイズで公開し、本体の標準価格を税別で掲載しています。
この会社の特徴
- 標準型4サイズの本体価格を公表——価格表でPBN-400が289,000円、PBN-500が299,000円、PBN-600が349,000円、PBN-800が660,000円と掲載し、「標準価格は、すべて税別表示となっております。」「本体の標準価格(運送・設置工事などは別途となります。)」と注記しています(2026年9月24日確認)。
- インターロックが標準で付く——「インターロック機能とは、前室側とクリーンルーム側の扉が同時には開かないことにより、エアーロック性を高める働きをします。」として、標準パスボックスの仕様に含めています。
- 架台・支持脚と扉の開き勝手まで注記——「重量物のため、型式や壁への取付位置等によっては支持脚や架台が必要となります。(PBN-800については標準で架台付きとなります)」と記載し、発注時に扉の開き勝手を指定するよう求めています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 東京都北区東十条4丁目5番14号 |
|---|---|
| 主な製品・型式 | 標準型PBN-400〜PBN-800(インターロック機能付) |
| 事業内容 | 建築設計施工と一般・特殊空調設備の設計施工 |
| 公表仕様・実績 | 標準型4サイズの内寸・外形・重量と本体の標準価格を公表 |
| 価格の公表 | PBN-400 289,000円/PBN-500 299,000円/PBN-600 349,000円/PBN-800 660,000円(本体の標準価格・税別。運送と設置工事は別途/2026年9月24日確認) |
こんな人に向いています:予算取りの段階で本体価格の目安を先に押さえたい企業
パスボックスで確認したいこと:公表価格は本体のみで、運送・設置工事は別途です。壁の開口工事や架台の要否を含めた総額で見積もりを取ってください。エアーシャワー付きなどは個別製作で、価格は公表されていません。
株式会社日立産機システム
産業電機の製造、販売、保守・サービス、システムソリューションなどを事業とする、日立製作所の100%出資会社です。クリーンエア装置のオプション製品として、標準型パスボックスと、清浄空気循環型・エアカーテン付・多連結型の特殊型を公開しています。
この会社の特徴
- 標準型は密閉用ラッチ式ハンドル——標準型について「密閉用ラッチ式ハンドルの採用により優れた密閉性を実現すると共にドアの開閉が容易に行えます」と記載し、「必要に応じ、殺菌灯付きなど特殊品も製作いたします。」と添えています(2026年9月24日確認)。
- 特殊型は型式と外形寸法を公開——清浄空気循環型(PRC-7560-70)は外形1,250×700×1,380mmでHEPAフィルタ(0.3μm粒子径にて99.99%以上)・風量15/17m³/min、エアカーテン付(PRV-7560-100)は外形1,200×1,180×2,250mmで高性能フィルタ(0.5μm粒子径にて95%以上)・吹き出し速度9/10m/sと公表しています。
- 受け渡しの多い現場向けの多連結型——多連結型(PRB-4750-40C-27)を外形5,676×400×1,823mmとして特殊型のページに掲載しています。
製品と会社の概要
| 所在地 | 東京都千代田区外神田一丁目5番1号 住友不動産秋葉原ファーストビル |
|---|---|
| 主な製品・型式 | 標準型/特殊型(清浄空気循環型・エアカーテン付・多連結型) |
| 事業内容 | 産業電機の製造、販売、保守・サービス |
| 公表仕様・実績 | 特殊型3種の型式・外形寸法を製品ページで公開(清浄空気循環型・エアカーテン付は風量も) |
| 価格の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:物品の受け渡し回数が多く、連続搬入や多連結型まで検討したい企業
パスボックスで確認したいこと:価格は公表されていません。標準型の寸法は製品ページの「仕様表・寸法図」(カタログ)で確認してください。
パスボックスのページのPR枠(1社限定)は現在募集中です。掲載をご検討の企業様は広告掲載についてをご覧ください。
パスボックスの公表仕様と型式
当サイトが確認したページに、この製品・サービスに関する記載があった会社だけを挙げています。表現は各社の公式サイトの記載に沿っています。
| 会社名 | 公式サイトで確認できた記載(2026年9月24日確認) |
|---|---|
| 日本無機株式会社 | パスボックス(一般型・エアシャワー付)の標準仕様表で、エアシャワー付のメインフィルタをHEPAフィルタ(0.3µm粒子 99.99%以上)、風速23/26m/s、電源AC200V 3φ 50/60Hz、消費電力0.4kW、電源コード5mプラグ付と公表。型式記号表でインターロックを「K:機械式」「E:電気式」「L:なし」に区分。 |
| 日本エアーテック株式会社 | 普及型(EPB)は「両扉のインターロックは、機械式のため、電源が不要で防爆エリア内の設置にも対応できます」、標準型(APB)は電磁ロック、高級型(HPB)はHEPAフィルターで清浄化した空気を循環、バイオハザード対策型(BHPB)は「バイオハザード対策室(BSL-3など)に対応」「高気密構造」と公表。 |
| 株式会社ニットー冷熱製作所 | 標準型・フラット型・エアシャワー付・循環エア付の4タイプを公開。フラット型を「従来のパスボックス本体から前面に出っ張っていたとびらを本体に埋め込む事で、埃だまりの問題を解消したパスボックス」と説明。工場ページで設計から組立までの一貫生産と、クリーン製品の製造リードタイム1週間の事例を公表。 |
| 株式会社ホクト総研 | 標準型PBN-400〜800の内寸・外形・重量と本体の標準価格(289,000円/299,000円/349,000円/660,000円、いずれも税別)を価格表で公表。「本体の標準価格(運送・設置工事などは別途となります。)」「重量物のため、型式や壁への取付位置等によっては支持脚や架台が必要となります。」と注記。 |
| 株式会社日立産機システム | 標準型を「密閉用ラッチ式ハンドルの採用により優れた密閉性を実現」と説明。特殊型のページで清浄空気循環型(PRC-7560-70・外形1,250×700×1,380mm・HEPAフィルタ0.3μm 99.99%以上・風量15/17m³/min)、エアカーテン付(PRV-7560-100・外形1,200×1,180×2,250mm・吹き出し速度9/10m/s)、多連結型(PRB-4750-40C-27・外形5,676×400×1,823mm)を公開。 |
上表は2026年9月24日に各社の公式サイト(製品ページ・仕様表・会社概要)を1社ずつ確認した時点の記載です。掲載していない会社が「対応していない」という意味ではありません。価格を公表しているのはホクト総研の1社で、残る4社は個別見積です。
パスボックスのメーカーを比べる4つの軸
パスボックスは、どのメーカーの製品も「両側に扉が付いた箱」という点は同じです。差が出るのは、インターロックの方式・庫内の清浄化方式・寸法の決め方・価格の公表という4点で、この4つを先に決めると見積もりが比較できる形になります。
| 会社 | インターロック | 庫内の清浄化 | 寸法の決め方 | 価格の公表 |
|---|---|---|---|---|
| 日本無機 | 機械式・電気式・なしを型式で選択 | 一般型は素通し/エアシャワー付はHEPA | 高さ・幅・奥行を100mm刻みの記号で指定 | なし |
| 日本エアーテック | 普及型は機械式(電源不要)/標準型は電磁ロック | 高級型はHEPA内蔵で循環 | 機種ごとの型式(06-555R・666R・777Rなど) | なし |
| ニットー冷熱製作所 | 機械式インターロック(製品仕様に記載) | 循環エア付・エアシャワー付を用意 | 標準型・フラット型を内寸400〜800mmの型式で公開(図面のダウンロードあり) | なし |
| ホクト総研 | 標準型に機械式を標準装備(図面に記載) | 標準型は素通し(エアーシャワー付は個別製作) | 内寸400・500・600・800mmの4サイズ | 本体の標準価格を公表 |
| 日立産機システム | 標準型にインターロック装置 | 特殊型に清浄空気循環型・エアカーテン付 | 特殊型は型式ごとの外形寸法を公開 | なし |
この4軸のうち、あとから変えられないのは寸法とインターロックの方式です。壁に開口を空けて据え付けたあとで「台車ごと入れたい」「防爆エリアへ移したい」となると、本体ごと作り直しになります。受け渡す物の最大寸法と、置く場所の条件(電源の有無、防爆区域かどうか)を先に固めてください。
掲載順は設立の古い順で、評価の順位ではありません。順序の基準と掲載の考え方は掲載・選定基準に記載しています。クリーンルーム本体の設計施工会社はクリーンルームの施工会社比較で扱っています。
パスボックスの価格はどこまで公表されているか
掲載5社のうち、パスボックスの本体価格を公表しているのはホクト総研の1社だけです(2026年9月24日確認)。標準型4サイズの本体標準価格が税別で公開されており、残る4社は仕様が決まってからの個別見積になります。
| 型式 | 内寸 W×D×H(mm) | 外形 W×D×H(mm) | 重量 | 本体の標準価格(税別) |
|---|---|---|---|---|
| PBN-400 | 400×400×400 | 520×480×480 | 35kg | 289,000円 |
| PBN-500 | 500×500×500 | 620×580×580 | 50kg | 299,000円 |
| PBN-600 | 600×600×600 | 720×680×680 | 70kg | 349,000円 |
| PBN-800 | 800×800×800 | 920×880×880 | 120kg(本体)+架台 | 660,000円 |
内寸が倍になると価格も倍以上に上がります。PBN-400(289,000円)とPBN-800(660,000円)の差は約2.3倍で、重量も35kgから120kgへ増えます。同社は「重量物のため、型式や壁への取付位置等によっては支持脚や架台が必要となります」とし、PBN-800は標準で架台付きと明記しています。本体価格だけで予算を組むと、架台と壁の開口工事が抜けます。
| 見落としやすい費目 | 中身 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| 運送・設置工事 | 公表価格は本体のみ。搬入経路と設置作業は別途 | 見積書で本体・運送・据付が分かれているか見る |
| 壁の開口工事 | パネル壁を切って受けフランジを取り付ける工事 | クリーンルームの施工会社側の工事範囲かを確認する |
| 支持脚・架台 | 重量物のため壁だけで支えられない場合に必要 | 型式と取付位置を伝えて要否を判断してもらう |
| 電源工事 | エアシャワー付は三相200Vが要る(日本無機の公表仕様で消費電力0.4kW) | 設置場所に電源があるか、増設が要るかを見る |
| オプション | 殺菌灯、インターホン、ブザー、表示灯、ドア開放表示灯など | 運用で使うものを発注前に決めて指定する |
ホクト総研は発注時に扉の開き勝手を指定するよう求めています。開く向きは現場で直せません。前室側とクリーンルーム側のどちらから、どちら向きに開くかを、作業動線と一緒に図面へ落としてから発注してください。クリーンルーム全体の費用感はクリーンルームの費用に整理しています。
パスボックスのインターロックは機械式か電気式か
インターロックとは、片側の扉が開いているあいだ、もう一方の扉が開かないようにする仕組みです。方式は機械式と電気式(電磁ロック)に分かれ、選び方は設置場所の条件で決まります。
両方の扉が同時に開くと室内外の空気がつながるため、この機構がパスボックスの中心になります。
| 方式 | 電源 | 公表している会社・機種 | 向いている場所 |
|---|---|---|---|
| 機械式 | 不要 | 日本無機(型式記号「K」)/日本エアーテック 普及型EPB/ニットー冷熱製作所 標準型・フラット型など/ホクト総研 PBN型(図面に機械式インターロックと記載) | 電源を引けない場所、防爆エリア |
| 電気式・電磁ロック | 必要 | 日本無機(型式記号「E」)/日本エアーテック 標準型APB | 表示灯やブザーと連動させたい場所 |
| なし | 不要 | 日本無機(型式記号「L」) | 清浄度の要求が低く、運用ルールで代替できる場所 |
日本エアーテックは普及型(EPB)について「両扉のインターロックは、機械式のため、電源が不要で防爆エリア内の設置にも対応できます」と明記しています。可燃性の溶剤を扱う区域では、電気機械器具の選定が法令の対象になります。労働安全衛生規則の第280条は、引火性の物の蒸気または可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所では、その種類と濃度に応じた防爆性能を持つ防爆構造電気機械器具でなければ使用してはならないと定めています(2026年9月24日確認)。電源を使わない機械式は、この判断を単純にできます。
一方で、電気式には運用上の利点があります。日本無機は注文時の指示でドア開放表示灯(赤色)・インターホン・殺菌灯付き・自動ドア付きに応じるとし、ニットー冷熱製作所もオプション仕様として殺菌灯、インターホン、ブザー、表示灯を用意しています。受け渡しの頻度が高いラインでは、扉の開閉を人が見張らずに済む仕掛けが効きます。
| 確認項目 | なぜ見るか | 公表例 |
|---|---|---|
| 扉の密閉性 | 扉のすき間から気流が漏れると室圧が乱れる | 日立産機システム「密閉用ラッチ式ハンドルの採用により優れた密閉性を実現」 |
| 扉まわりの形状 | 出っ張りやドア上部は埃がたまる | ニットー冷熱製作所のフラット型/日本エアーテック標準型「本体と扉はフラットな構造で、ごみ溜まりを防止しています」 |
| 透視窓 | 受け渡しの完了を目視で確認する | 日立産機システム「扉には大きな透視窓」/ホクト総研 PBN-500は透明ガラス300×300mm |
| 内面の材質 | 拭き取り清掃のしやすさと発塵に効く | ホクト総研 PBN-500は内面床をSUS304ヘアーライン仕上げ/日本無機は標準仕様で床面をステンレス板(SUS304)仕上げ(通路部仕様の記号で天井・側板もSUSにできる) |
扉やパネルの内装材の考え方はクリーンルームの内装、発塵そのものを減らす運用はクリーンルームの発塵対策で扱っています。
パスボックスの清浄化方式を用途で選ぶ
パスボックスの庫内には、何もしない素通しタイプから、HEPAフィルターで空気を循環させるもの、エアシャワーで吹き飛ばすものまで4つの方式があります。方式が変わると電源の要否と価格帯が変わるため、受け渡す物の汚れ方に合わせて選びます。
| 方式 | 何をするか | 公表している機種 | 電源 |
|---|---|---|---|
| 素通し(標準型) | 扉の二重化だけで空気のつながりを断つ | ホクト総研 PBN型/日立産機システム 標準型/日本無機 一般型/ニットー冷熱製作所 標準型・フラット型 | 不要(機械式の場合) |
| 循環(HEPA内蔵) | 庫内の空気をHEPAフィルターに通して循環させる | 日本エアーテック 高級型HPB/日立産機システム 清浄空気循環型PRC-7560-70/ニットー冷熱製作所 循環エア付 | 必要 |
| エアシャワー付 | ジェットノズルの噴流で物品に付いた粒子を払う | 日本無機 エアシャワー付PPB(風速23/26m/s)/ニットー冷熱製作所 エアシャワー付(ジェットノズル4個) | 必要(日本無機はAC200V 3φ・0.4kW) |
| エアカーテン付 | 開口部に気流の膜を作って外気の侵入を抑える | 日立産機システム エアカーテン付PRV-7560-100(吹き出し速度9/10m/s) | 必要 |
清浄化の機構を足すほど設備は大きくなります。日立産機システムの清浄空気循環型は外形1,250×700×1,380mm、エアカーテン付は外形1,200×1,180×2,250mmと公表されており、壁に埋め込む標準型とは設置の前提が違います。床置きのスペースと搬入経路を先に確認してください。
| 扱うもの・施設 | 検討しやすい方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 包装済みの部材・書類 | 素通しの標準型 | 表面の粒子が少なく、扉の二重化だけで足りる場合が多い |
| むき出しの部品・治具 | エアシャワー付 | 噴流で表面の付着粒子を落としてから入れられる |
| 受け渡しの待ち時間が長い | 循環(HEPA内蔵) | 庫内に物を置いたままでも清浄度を保てる |
| 病原体を扱う区域 | 高気密構造の専用機 | 日本エアーテックはバイオハザード対策室(BSL-3など)に対応した機種を公表している |
| 受け渡し頻度が高いライン | 多連結型・大型機 | 日立産機システムは多連結型を特殊型として公開している |
バイオ系の施設では、パスボックス単体ではなく前室や更衣室を含めた動線で決まります。用途別の設計要件はバイオクリーンルームと医薬品工場のクリーンルーム、半導体・電子部品は半導体工場のクリーンルームにまとめています。
パスボックスの発注前に決める項目
メーカーへ問い合わせる前に決めておくと、同じ条件で複数社の見積もりを並べられます。逆にここが曖昧なままだと、各社が違う前提で見積もるため金額を比べても意味がありません。次の6項目を先に埋めてください。
| 決めること | 具体的に伝える内容 | 決まらないと起きること |
|---|---|---|
| 受け渡す物の最大寸法と重さ | トレー・カゴ・台車の寸法。1回に入れる数 | 内寸が足りず、扉を開けて運ぶ例外運用が常態化する |
| 設置位置と壁の構造 | パネル壁か躯体か。床からの高さ。前後の作業スペース | 開口工事と架台の要否が決まらず、見積もりが出ない |
| 清浄化の方式 | 素通し・循環・エアシャワー・エアカーテンのどれか | 電源工事の有無が変わり、総額が動く |
| インターロックの方式 | 機械式か電気式か。防爆区域かどうか | 設置場所の法令上の条件と合わなくなる |
| 扉の開き勝手とオプション | 左右どちらに開くか。表示灯・インターホン・殺菌灯の要否 | 納品後に直せず、作業動線が悪くなる |
| 工事範囲の分担 | 本体・運送・据付・開口工事・電源工事の担当 | クリーンルーム施工会社と機器メーカーの間で工事が抜ける |
寸法の指定の仕方は会社で違います。日本無機は型式の記号で通路部の高さ・幅・奥行を100mm刻みで指定する形(記号4〜9と、1,000mm以上を表す1)で、扉・インターロック・通路部仕様・付加機能まで記号の組み合わせで決めます。ホクト総研は内寸400・500・600・800mmの4サイズから選ぶ形です。規格サイズで足りるなら価格が読め、足りないなら型式指定か個別製作になります。
| 質問 | 回答で見るところ |
|---|---|
| この内寸で標準品はありますか | 標準品があるか、個別製作になるかで価格と納期が変わる |
| インターロックは機械式にできますか | 電源の要否と、防爆区域に置けるかが決まる |
| 本体価格と据付費は分けて出せますか | 総額の内訳が見え、他社と同じ条件で比べられる |
| 壁の開口と架台はどちらの工事範囲ですか | クリーンルーム施工会社との分担の抜けを防げる |
| 納期はどれくらいですか | ニットー冷熱製作所は自社工場でクリーン製品の製造リードタイム1週間の事例を公表している |
パスボックスは単体で買う機器に見えますが、壁・気流・動線とつながる設備です。既設のクリーンルームへ後から付ける場合は、室圧のバランスが変わることもあります。本体の価格だけで決めず、開口工事と気流への影響を施工会社にも確認してください。クリーンルーム本体を計画中ならクリーンルームの施工会社比較、簡易な区画で済ませるならクリーンブース、稼働後の清掃はクリーンルームの清掃業者をご覧ください。
規格・制度の数値は必ず原文で確認してください
クリーンルームに関わる規格(ISO14644・JIS B 9920)や、GMP・HACCP・再生医療関連の制度は改正されます。当サイトの記載は制度の全体像と確認すべき論点を示すことを目的としており、設計・契約・規制対応の根拠にはできません。必ず規格原文および所管官庁の最新の告示・通知をご確認ください。規格の全体像はクリーンルームの規格にまとめています。
パスボックスのメーカーに関するよくある質問
パスボックスのメーカー選びで多い質問として、価格の公表状況、エアシャワーとの違い、インターロックの要否、既設のクリーンルームへの後付けを、掲載5社の公式サイトの記載をもとに答えます。
パスボックスの価格はいくらですか?
掲載5社のうち本体価格を公表しているのはホクト総研の1社です。標準型は内寸400mmのPBN-400が289,000円、500mmが299,000円、600mmが349,000円、800mmが660,000円で、いずれも税別・本体のみの標準価格です。運送と設置工事は別途で、重量物のため支持脚や架台が必要になる場合があるとされています(2026年9月24日確認)。
パスボックスとエアシャワーは何が違いますか?
通すものが違います。パスボックスは物品を受け渡すための箱で、エアシャワーは人が通る通路です。パスボックスにもエアシャワー付きの機種があり、日本無機は風速23/26m/s、ニットー冷熱製作所は4個のジェットノズルと公表しています。人の出入りを減らす目的で両方を組み合わせて使います。
パスボックスのインターロックは必ず必要ですか?
日本無機は型式記号でインターロック「なし」も選べる形にしています。ただし両側の扉が同時に開くと室内外の空気がつながるため、清浄度を保つ目的で設置するなら標準で付けます。電源を引けない場所や防爆エリアでは、日本エアーテックの普及型のように電源が不要な機械式が選ばれます。
パスボックスは後から設置できますか?
既設のクリーンルームにも設置できますが、壁の開口工事が伴います。ホクト総研は重量物のため型式や壁への取付位置によって支持脚や架台が必要になると注記し、発注時に扉の開き勝手を指定するよう求めています。開口によって室圧や気流のバランスが変わることもあるため、機器メーカーと施工会社の両方に工事範囲を確認してください。
