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維持管理

クリーンルームのHEPAフィルターは
交換頻度をどう決める?差圧で判断する

最終更新:2026年9月25日

クリーンルームのHEPAフィルターは 交換頻度をどう決める?差圧で判断する維持管理クリーンルームのHEPAフィルターは交換頻度をどう決める?差圧で判断する

クリーンルームのHEPAフィルターは、「何年で交換」と一律に決められるものではありません。判断の基準は経過年数ではなく、フィルタ前後の差圧がどれだけ上がったかです。同じ設備でも、室内の発塵量とプレフィルタの管理状態で寿命は何倍も変わります。

この記事では、クリーンルームのフィルタがどう構成されているか、交換時期をどう判断するか、そして清浄度測定とリーク試験をどう組み立てるかを整理します。維持管理を軽視すると、設備は健全なのに清浄度だけが出ないという状態になります。

目次
  1. クリーンルームのHEPAフィルターは単独で働いていない
  2. HEPAフィルターの交換時期は差圧で判断する
  3. クリーンルームのメンテナンスはフィルタ交換だけではない
  4. クリーンルームの清浄度測定はどう組み立てるか
  5. クリーンルームの維持管理は誰が担当するか決めておく
  6. HEPAフィルターの交換に関するよくある質問

クリーンルームのHEPAフィルターは単独で働いていない

HEPAフィルターとは、クリーンルームへ送る空気から微粒子を捕集するための高性能フィルターのことです。ただしフィルター単体で清浄度が保たれるわけではなく、気流と室圧の設計と組み合わせて働きます(2026年8月29日時点)。

HEPAフィルターは最終段のフィルタです。その前に粗いフィルタが何段か入っており、この前段の管理がHEPAの寿命を決めます。

クリーンルームのHEPAフィルターは単独で働いていない
段役割交換の目安
プレフィルタ(粗塵用)大きな粒子・繊維を捕集し、後段の負荷を下げる数か月〜1年。安価なので早めに交換したほうが総額は安くなる
中性能フィルタ中間の粒径を捕集する1〜2年程度が目安。差圧で判断する
HEPA/ULPAフィルタ最終段。微細粒子を捕集する数年単位。高価で交換工事も伴う

プレフィルタの交換をさぼると、その負荷はすべてHEPAに行きます。数千円のプレフィルタを惜しんで、数万円以上するHEPAの寿命を縮めるのは経済的ではありません。日常管理でコストを下げられる数少ない項目です。

HEPAフィルターの交換時期は差圧で判断する

交換の判断基準は、フィルタ前後の圧力差(差圧)です。フィルタに粒子が溜まると空気が通りにくくなり、差圧が上がります。初期差圧の何倍になったら交換する、という基準をあらかじめ決めておきます。

  1. 竣工時の初期差圧を記録する——これが基準線になります。記録がないと判断できません
  2. 定期的に差圧を記録する——月次など頻度を決めて記録し、上昇の傾きを見ます
  3. 交換基準を決めておく——初期差圧の何倍、または設備の許容差圧を超えたら交換
  4. 予備品の手配リードタイムを確認する——特注サイズは納期がかかります

差圧が上がると送風機の負荷が増え、電力も増えます。交換を先送りするほど電気代が増えるため、「限界まで使う」ことが必ずしも安上がりではありません。差圧と電力の関係を含めて交換時期を決めてください。

交換頻度は、室内の発塵量、外気の汚れ、運転時間、プレフィルタの管理で大きく変わります。他社の事例や一般的な年数をそのまま自社に当てはめないでください。自社の差圧データが唯一の根拠になります。

クリーンルームのメンテナンスはフィルタ交換だけではない

定期的に必要になる作業を整理します。どれを自社で行い、どれを外部に委託するかを竣工時に決めておくと、年間費用が読めます。

クリーンルームのメンテナンスはフィルタ交換だけではない
項目内容頻度の考え方
フィルタ交換プレフィルタ、中性能、HEPA差圧で判断。段によって周期が違う
清浄度測定パーティクルカウンタで粒子数を測定要求クラスと用途で決める。医薬品では規制の要求に従う
差圧の記録室間差圧、フィルタ差圧日次〜月次。連続監視が求められる区域もある
風速・風量の測定吹き出し口の風速、換気回数の確認年次が一般的。清浄度が出ないときの切り分けにも使う
リーク試験HEPAの取り付け部やシール部からの漏れを確認フィルタ交換後は必須。定期的にも実施する
清掃床・壁・天井・什器の清掃日次。手順書と使用薬剤を定める

清浄度が出なくなったとき、原因の切り分けにはこれらの記録が要ります。記録がないと、フィルタ劣化なのか差圧の崩れなのか室内の発塵源なのかを判断できず、必要のない改修工事をすることになります。

クリーンルームの清浄度測定はどう組み立てるか

測定は「測ればよい」ものではなく、条件を揃えないと前回との比較ができません。次を決めて手順書にしてください。

  • 測定点——位置と点数を固定する。毎回同じ場所で測らないと傾向が見えません
  • 測定高さ——作業面の高さが一般的。決めたら変えない
  • 測定状態——非作業時か作業時か。両方測るなら別々に記録します
  • 測定時間と回数——1点あたりの吸引時間と繰り返し回数
  • 機器の校正——パーティクルカウンタの校正期限を管理します

測定方法の考え方はISO14644-1およびJIS B 9920に定められています。契約や規制対応で使う測定は、規格原文に従って実施してください。規格の全体像はクリーンルームの規格で解説しています。

クリーンルームの維持管理は誰が担当するか決めておく

引き渡し後に誰が測定し、誰がフィルターを交換するのかが決まっていないと、清浄度は徐々に落ちます。自社で持つか外部に委託するかを契約前に決めてください。

竣工後の担い手を決めていないと、フィルタが詰まるまで誰も気づきません。選択肢は3つです。

クリーンルームの維持管理は誰が担当するか決めておく
担い手向いている場面注意点
自社で実施測定機器を持ち、担当者を置ける規模機器の校正と担当者の交代時の引き継ぎが課題になる
施工会社の保守契約設備の経緯を知っている会社に任せたい場合契約範囲と年間費用を竣工時に決める。新設のページしかない会社は対応可否を確認する
専門の測定会社に委託測定と報告書だけを外部化したい場合設備の不具合対応は別に手配が必要

掲載12社には、保守や改修を公式サイトで案内している会社が複数ありますが、対応の範囲は会社ごとに違います(2026年9月25日確認)。新設と保守で得意な会社が違うことがあるため、竣工後の体制は会社選びの段階から確認してください。比較はクリーンルーム設計施工会社の比較、改修の進め方は既存工場のクリーン化改修をご覧ください。

HEPAフィルターの交換に関するよくある質問

HEPAフィルターの交換について、年数ではなく差圧で判断する理由、プレフィルタを早めに交換する意味、交換後にリーク試験でクリーンルームの清浄度を確認する必要性など、よくある質問に本文の内容をもとに答えます。

HEPAフィルターは何年で交換すればよいですか?

年数では決められません。判断基準はフィルタ前後の差圧で、初期差圧の何倍になったら交換するという基準をあらかじめ決めておきます。室内の発塵量、外気の汚れ、運転時間、プレフィルタの管理状態で寿命は大きく変わるため、自社の差圧データが唯一の根拠になります。

プレフィルタを頻繁に交換する意味はありますか?

あります。プレフィルタが捕集するはずだった粒子は、交換をさぼるとすべて後段のHEPAに行きます。安価なプレフィルタを早めに交換したほうが、高価なHEPAの寿命が延びて総額は下がります。日常管理で費用を下げられる数少ない項目です。

HEPAフィルターを交換したら測定は必要ですか?

必要です。フィルタ本体が健全でも、取り付け部やシール部から漏れがあれば清浄度は出ません。交換後にリーク試験を行って漏れがないことを確認してください。

この記事を書いた人

執筆・編集:クリーンルームラボ 編集部

クリーンルームの設計施工会社について、対応分野・施工体制・公表実績を公式情報にもとづいてまとめています。

参照した情報:日本産業標準調査会(JISC)JIS検索/公益社団法人 日本空気清浄協会(JACA)/当サイト調べ(掲載12社の公式サイトを2026年8月29日に確認)(2026年8月29日確認)

最終更新:2026年9月25日