防爆クリーンブースは、引火性の溶剤や粉体を扱う場所で使うクリーンブースです。蒲田工業は、KAMATA防爆ブースを化学・薬品工場などの1種・2種・0種の引火爆発危険性場所で防塵・安全対策に使えるとし、防爆クリーンルームは耐圧防爆(d2G4)と安全増し防爆(eG3)のどちらにも対応できると公表しています(2026年9月7日確認)。
発注でつまずくのは、危険箇所の区分が先に決まっていない場合です。区分が決まらなければ必要な防爆構造も決まらず、各社は見積もりを出せません。区分そのものは電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)が定義しています。
このページでは、対応を公式サイトで確認できた2社の公表仕様を並べたうえで、危険箇所の区分、防爆構造の種類、確認すべき4点、見積もり前に決める項目、防爆が要らない場合を整理します。
目次
防爆クリーンブースに対応する2社
この用途への対応を公式サイトで確認できた設計施工会社2社です。掲載順は順位ではありません(順不同)。用途ごとの記載根拠はこの下の表にまとめています。選定の考え方は掲載・選定基準をご覧ください。
| 会社名 | 本社・拠点 | 公式サイトで確認できる対応分野 | 施工体制 | 料金の公表 |
|---|---|---|---|---|
| 蒲田工業株式会社 | 東京都港区/全国8営業所 | ICR/BCR/恒温恒湿/バリデーション | クリーンルームの設計・製作・施工 | — |
| 伸榮産業株式会社 | 大阪府大東市/大阪工場・関東営業所(全国対応と公表) | クリーンブース/クリーンベンチ/エアシャワー | 特注の開発・製造・設計施工 | — |
蒲田工業株式会社
クリーンルーム事業の専用サイトで「クリーンルームの設計施工専門」を掲げる会社です。事業内容に「クリーンルームの設計・製作・施工」「クリーンブースの設計・製作・施工」を明記し、営業所を東京・神奈川・埼玉・静岡・名古屋・大阪・広島・熊本に構えています。
この会社の特徴
- 設計から施工まで一貫対応を明記——事業内容に「クリーンルームの設計・製作・施工」と記載があります。ICR・BCR・恒温恒湿・バリデーションを対象に挙げています。
- 特定建設業許可を保有——東京都知事許可(特-4)第94313号 建築工事業ほか、管工事業・機械器具設置工事業・とび・土工工事業などを公表しています。
- 営業所を8か所公開——三郷・相模原・富士・静岡・名古屋・大阪・福山・熊本に営業所、富士と三重に工場があると公表しています。
施工の対応範囲
| 所在地 | 東京都港区港南2-16-3 品川グランドセントラルタワー24F |
|---|---|
| 主な対応分野 | ICR/BCR/恒温恒湿/バリデーション |
| 施工体制 | クリーンルームの設計・製作・施工 |
| 公表実績 | クリーン環境構築の実績30年以上と公表 |
| 料金の公表 | 公式サイトで料金の記載を確認できず |
こんな人に向いています:大規模改修を含めて関連工事まで一括で任せたい企業
防爆クリーンブースで確認したいこと:費用は公表されていません(概算は、寸法・清浄度・空調の有無を伝えて依頼する形です)。工期はよくある質問で、発注から設置完了まで約2か月となることが多く、サイズ・仕様によっては短縮できると回答しています。自社の条件での工期は見積もり時に確認してください。
伸榮産業株式会社
クリーンルーム・クリーンブースなどのクリーン関連設備と理化学研究機器を特注で開発・製造する一貫体制のメーカーです。クリーンブースについて「特注設計施工」と明記し、半導体工場の防爆・耐薬品対応やAIデータセンター向けの対象工程と構成例を挙げています。
この会社の特徴
- 特注のオーダーメイドを前面に出している——現場の環境・レイアウトに合わせた自由度の高いオーダーメイド対応を掲げています。
- 開発から製造まで一貫体制と公表——大阪工場を持つ一貫体制のメーカーであり、全国対応と明記しています。
- 建設業許可を保有——大阪府知事許可 第151490号として、とび・土工工事業、電気工事業、管工事業、内装仕上工事業、機械器具設置工事業を公表しています。
施工の対応範囲
| 所在地 | 大阪府大東市諸福5-14-3 |
|---|---|
| 主な対応分野 | クリーンブース/クリーンベンチ/エアシャワー |
| 施工体制 | 特注の開発・製造・設計施工 |
| 公表実績 | 防爆・耐薬品対応やデータセンター向けの特注対応を公表 |
| 料金の公表 | 規格品クリーンブースの本体価格をカタログで公表(組立式KCB-112 253,000円〜KCB-222 350,000円、アルミ製組立式CBM-1500 348,000円・CBM-2000 460,000円など。運賃別途・税の表示なし)。特注品と工事は個別見積 |
こんな人に向いています:防爆・耐薬品など、標準品では収まらない要件があるクリーンブースを検討する企業
防爆クリーンブースで確認したいこと:特注クリーンブースと工事の費用は公表されていません。規格品のクリーンブースはカタログPDFで本体価格を公表しています(組立式クリーンブースKCB-112が253,000円、アルミ製の組立式CBM-1500が348,000円など。運賃別途で、税の表示はありません)。拠点は大阪(本社・本社工場)と関東営業所で、それ以外の地域の施工体制は個別に確認してください。
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防爆クリーンブースの公表仕様
当サイトが確認したページに、この用途に関する記載があった会社だけを挙げています。表現は各社の公式サイトの記載に沿っています。
| 会社名 | 公式サイトで確認できた記載(2026年8月29日確認) |
|---|---|
| 蒲田工業株式会社 | KAMATA防爆ブース・防爆クリーンルームを公開。防爆ブースは本体・板材ともアルミ材で引火性材料を使わず、1種・2種・0種の引火爆発危険性場所への防塵・安全対策に使用可能と記載。防爆クリーンルームは耐圧防爆(d2G4)・安全増し防爆(eG3)のどちらでも対応可能とし、eG3・d2G4対応ファンを内蔵した防爆対応型ファンフィルターユニット(10〜25㎥/min)も公表。 |
| 伸榮産業株式会社 | クリーンブースの業種別課題解決で「半導体工業|防爆対応・耐薬品」を掲げ、有機溶剤による引火危険には防爆対応FFU&LED照明(モーターに安全増防爆・耐圧防爆を採用し、照明・スイッチ・配線も防爆施工)、腐食性ガスには耐薬品塩ビ&SUS304構造と記載。防爆仕様や耐薬品性にも対応可能と公表。 |
当サイトの掲載12社のうち、防爆仕様のクリーンブース・クリーンルームを公式サイトで確認できたのはこの2社です(2026年9月7日確認)。ほかの10社が「対応していない」という意味ではなく、当サイトが確認したページに記載がなかったことのみを示します。2社とも価格と標準納期は公表していません。
防爆クリーンブースと危険場所の区分
防爆クリーンブースとは、引火性の物の蒸気やガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある場所で使えるよう、電気設備を防爆構造にしたクリーンブースです。要否は清浄度ではなく、設置場所の区分で決まります。
| 法令上の名称 | 告示第1条の定義(原文) | 該当しやすい場所 |
|---|---|---|
| 特別危険箇所 | 「連続し、長時間にわたり、又は頻繁に、ガス又は蒸気が爆発の危険のある濃度に達するもの」。 | 溶剤タンクの内部、開放槽の液面近く。 |
| 第一類危険箇所 | 「通常の状態において、前号及び次号に該当しないもの」。 | 通常の運転で蒸気が出る充填口や仕込み口の周辺。 |
| 第二類危険箇所 | 「通常の状態において、ガス又は蒸気が爆発の危険のある濃度に達するおそれが少なく、又は達している時間が短いもの」。 | 異常時や短時間だけ蒸気が滞留しうる周辺エリア。 |
呼び方には注意が要ります。告示と通達が使っている名称は、危険性の高い順に特別危険箇所・第一類危険箇所・第二類危険箇所の3つです。一方、製品ページでは0種・1種・2種という表記が使われます。同じ3段階を指す呼び方の違いですが、見積もり依頼書には法令上の名称も併記しておくと行き違いが起きません。
分類そのものを誰がやるかも先に決めてください。厚生労働省の通達(基安発0218第1号・令和3年2月18日)は、危険箇所の分類の方法についてJIS C 60079-10によることとしています。ブースのメーカーが分類までやってくれるとは限らないため、区分の判定は発注者側の責任範囲として扱うのが安全です。
防爆構造は耐圧と安全増で分かれる
防爆構造にはいくつもの種類があり、同じ告示の第1条が定義しています。どれを選ぶかは危険箇所の区分と機器の種類で決まります。ブースで問題になるのはファンフィルターユニットのモーターと照明です。
| 構造 | 告示第1条の定義(要点) |
|---|---|
| 耐圧防爆構造 | 全閉構造で、内部で爆発が生じても容器が爆発圧力に耐え、火炎が外部のガスや蒸気に点火しないようにしたもの。 |
| 内圧防爆構造 | 容器の内部に空気、窒素、炭酸ガス等の保護ガスを送入または封入し、内部にガスや蒸気が侵入しないようにした構造。 |
| 安全増防爆構造 | 正常な運転で火花やアークを発せず高温にもならない部分について、絶縁性能と温度上昇・外部からの損傷に対する安全性を高めた構造。 |
| 本質安全防爆構造 | 火花、アーク、熱がガスや蒸気に点火するおそれのないことが点火試験等で確認された構造。 |
掲載社の公表内容は、この分類に対応しています。蒲田工業は耐圧防爆(d2G4)と安全増し防爆(eG3)という記号まで明記し、防爆対応型ファンフィルターユニットを製品として公開しています。記号は防爆構造とその適用範囲を表すもので、扱う物質によって必要な組み合わせが変わります。自社の物質に対して適合するかは、物質側の性状から確認してください。
伸榮産業は、有機溶剤による引火危険への対策として防爆対応FFUとLED照明(モーターに安全増防爆や耐圧防爆を採用し、照明・スイッチ・配線も防爆施工)を、腐食性ガスへの対策として耐薬品塩ビとSUS304構造を挙げています。同社は強酸やフッ酸などの薬液から揮発する腐食性ガスにより、標準のアルミフレームや鋼板が早期に腐食・サビ・劣化を起こすと説明しています。防爆と耐薬品は別の要求なので、両方が要る工程では仕様書に分けて書いてください。
防爆クリーンブースで確認する4点
防爆は「対応可能」と書いてあれば済む話ではありません。ブースを構成する電気設備のどこまでが防爆構造なのかは、会社によっても製品によっても違います。次の4点を必ず個別に確認してください。
- 防爆になっている部位の範囲——ファンのモーター、照明、コンセント、制御盤、差圧計のどこまでか。1か所でも一般品が残れば区分の要求を満たしません
- 爆発等級と発火度の組み合わせ——扱う物質ごとに必要な記号が変わります。蒲田工業はd2G4とeG3を公表していますが、自社の物質がその範囲に収まるかは物質側から確認します
- 静電気対策——ビニールカーテンは帯電します。導電性の材質か、接地をどう取るかまで含めて仕様に入れてください
- 排気の扱い——蒸気を室内に戻すのか屋外へ出すのか。屋外排気ならダクトと排風機も防爆側の検討対象になります
蒲田工業は対象となる工程として、化学・薬品工場、薬品の充填工程、塗装工程、引火性溶液の取り扱い作業エリアを挙げています。該当するのが工程全体ではなく一部の作業点だけなら、部屋ごとではなくブースで囲うほうが合理的になります。囲いと部屋の使い分けはクリーンブースとはで扱っています。
見積もり前に決める5項目
防爆は要求が決まらないと図面が引けません。引き合いを出す前に次の5つを1枚にまとめてください。順番にも意味があり、上から順に決まらないと下が決まらない構造になっています。
- 扱う物質を特定する——物質名、使用量、温度。安全データシートを添付すれば話が早く進みます
- 危険箇所の区分を判定する——JIS C 60079-10による分類を、誰がいつまでに出すかを決めます。ここが未定のまま引き合いを出すと各社の前提がばらつきます
- 必要な清浄度を決める——防爆と清浄度は別の要求です。両方を満たす必要があるのか、防爆だけで足りるのかを切り分けます
- 換気と排気の方針を決める——蒸気を薄めるための換気量は、清浄度のための循環風量とは別に計算します
- 検査と記録の範囲を決める——防爆機器の型式検定合格証、接地抵抗の測定値、清浄度測定の報告書のどこまでを納品物とするか
2社とも価格と標準納期を公表していないため、金額での事前比較はできません。同じ1枚を2社に渡し、含まれる範囲の違いで比べてください。見積書の読み方はクリーンルームの設計と見積もり、費用の構造はクリーンルームの費用にまとめています。
防爆クリーンブースが要らない場合
防爆仕様は本体価格も納期も押し上げます。当サイトは一律に勧めていません。次のどれかに当てはまるなら、標準品で足りるか、別の対策のほうが適切です。設計の初期に切り分けてください。
- 設置場所が危険箇所に該当しない——溶剤を扱っていても、密閉容器のままで蒸気が出ない工程なら区分に入らないことがあります。判定を飛ばして防爆を指定すると、不要な費用が恒久的に乗ります
- 問題が引火ではなく腐食である——薬液の腐食性が課題なら、必要なのは耐薬品仕様です。伸榮産業は耐薬品塩ビとSUS304構造を防爆とは別の対策として挙げています
- 粉じんの飛散防止だけが目的——封じ込めが目的で引火性がないなら、内部を負圧に保つ構成で足ります。考え方はクリーンルームの換気回数にまとめました
逆に、判定の結果として危険箇所に該当するなら、防爆構造は法令上の要求です。コストを理由に一般品で代替する余地はありません。区分の判定と設備の選定は、必ず告示と通達の原文にもとづいて進めてください。規格と制度の全体像はクリーンルームの規格で解説しています。
規格・制度の数値は必ず原文で確認してください
クリーンルームに関わる規格(ISO14644・JIS B 9920)や、GMP・HACCP・再生医療関連の制度は改正されます。当サイトの記載は制度の全体像と確認すべき論点を示すことを目的としており、設計・契約・規制対応の根拠にはできません。必ず規格原文および所管官庁の最新の告示・通知をご確認ください。規格の全体像はクリーンルームの規格にまとめています。
防爆クリーンブースのよくある質問
防爆クリーンブースについて、必要になる工程、危険場所の0種・1種・2種の区分、耐圧防爆と安全増防爆の違い、価格の公表状況という4つの質問に、本文の内容をもとに答えます。
防爆クリーンブースはどんな工程で必要ですか?
引火性の物の蒸気やガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある場所で必要になります。蒲田工業は対象として化学・薬品工場、薬品の充填工程、塗装工程、引火性溶液の取り扱い作業エリアを挙げています。清浄度の高さとは関係がなく、設置場所が危険箇所に該当するかどうかで決まります。
危険場所の0種・1種・2種とは何ですか?
危険性の高い順に3段階に分けた区分です。法令上の名称は電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)第1条が定める特別危険箇所・第一類危険箇所・第二類危険箇所で、告示や通達では0種・1種・2種という表記は使われていません。分類の方法は厚生労働省の通達がJIS C 60079-10によることとしています。
耐圧防爆と安全増防爆はどう違いますか?
耐圧防爆構造は全閉構造で、内部で爆発が生じても容器が爆発圧力に耐え、火炎が外部のガスや蒸気に点火しないようにしたものです。安全増防爆構造は、正常な運転で火花やアークを発しない部分について絶縁性能と温度上昇に対する安全性を高めた構造を指します。蒲田工業は耐圧防爆(d2G4)と安全増し防爆(eG3)の両方に対応と公表しています。
防爆クリーンブースの価格はいくらですか?
当サイトが確認した2社は、いずれも価格と標準納期を公表していません(2026年9月7日確認)。防爆仕様はファンフィルターユニットのモーターや照明を防爆構造の機器に置き換えるため、標準品より高くなります。扱う物質と危険箇所の区分を書いた仕様書を渡して、2社から見積もりを取ってください。
